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コラム

宣伝部の変革と復権-次世代マーケティング部への機能再編-

データ分析から「シナリオ設計」をするということ——“アナログ広告人材”が活躍できる可能性

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【前回のコラム】「宣伝部員が「企業マーケター」になるために~まずは自社の広告活動の「評価」(ROI分析)は自社でやろう~」はこちら

データから、シナリオ設計につなげる力

ここ最近、DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を導入したいという企業からの声が増えていると感じる。私はそうした企業に対して、日本のDMP草創期から導入コンサルをしてきたが、その経験を通じて感じているのは「DMPは導入期と運用期でずいぶんと様相が変わってくる」ということだ。

実際にデータ(まずは1stPartyデータを徹底的に)を分析することになるのだが、それにより分析の基盤が構築できたとしても、「価値のある分析」とは実際に「施策」に繋げて成果を出すことでしかない。どれだけ緻密な基盤ができたところで、それが成果につながらなければ、当然ながら意味はない。

このところ、SIer系のDMPを推進する企業から「データ分析官を育成・採用し、分析にあたらせているが、なかなか価値の高い分析結果=“シナリオ設計”ができるところにまで至らない」という課題を打ち明けられるようになった。つまり統計や数学に強い、数字をいじることに慣れている人だけでは「シナリオ設計」は難しいということだ。

当然と言えば当然で、マーケティングの施策(つまり何らかの打ち手)を企画実行した経験がある人でないと、「シナリオ設計」のイメージはつかめないということはあるだろう。

生活者の日常を想像できない、データ分析官

ところで、分析官(データサイエンティスト)と言われる若い人たちの中には、分析対象となるブランドやその商品カテゴリーについて、販売時点や生活者の購買や使用実態などについて生活感覚としてしっかり捉えていない者も少なくないと思う。

これは大きな問題だ。

今さら、“昔の広告マン自慢”をするわけではないが、私が広告会社に入社した頃は、当然自分の担当するクライアントの商品が陳列されている、小売り店頭の観察には頻繁に行き、実際に買っている人たちの様子を見ておくことは当然のことだった。工場にも必ず行っていた。広告主企業の生産の現場、あるいは流通における基本的なビジネスロジックとそれを買ってくれる消費者の生活感覚や購買時点のイメージを膨らませておくことは広告マンとして、当然の行動様式であった。 
ところがネット系というか、テクノロジー系というか、データサイエンティストというか…そういう文化で育った若い人たちは、どうもPCの画面からしか情報を得ていないように思えてきた。

確かに、そんな状態では「シナリオ設計」まで期待するのは難しい。そもそも「シナリオ設計」する以前の問題で、消費者の日常を想像する力がなければ、データに出てくる“特異点”の原因に思いを巡らせることもできないし、それを欠いた分析レポートは、マーケティングの現場には活かせないものになってしまうだろう。

次ページ 「生身の消費者と向き合い、インサイトを抽出する」へ続く