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コラム

宣伝部の変革と復権-次世代マーケティング部への機能再編-

3rdパーティデータとしてのTV視聴データが流通する—業界人間ベム「2015年広告業界7つの予測」から

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【前回のコラム】「SIer主導の本格的プライベートDMPと「シナリオ設計」人材開発が始まる——業界人間ベム「2015年広告業界7つの予測」から」はこちら

日本でも変化が始まったテレビ視聴データ市場

DMPに関わるデータ群には、基本4つのタイプがある。企業が自前で持っている1stPartyデータ、メディアのオーディエンスデータとしての2ndPartyデータ、広告配信の結果をリザルトラーニングデータとして蓄積できる「配信結果データ」、そして外部データとして買うなり、交換するなりして入手できる3rdPartyデータの4群である。

ユーザーごとのOne to Oneコミュニケーションに必要なデータとその活用

そして、この3rdPartyデータのうち、マスマーケティングを展開する企業にとって極めて重要になるのが、ソーシャルメディアデータと購買行動データ、メディア接触データの3つである。メディア接触と言っても当然主たるメディアはテレビ。テレビの視聴データを取得分析できるかはマスマーケターにとって大きなインパクトを持つ。

テレビ視聴データに関しては、ニールセンが日本における視聴率提供サービスから撤退して以降、ビデオリサーチの独占となっている。筆者はニールセンが日本で個人視聴率を売っていた頃に、ある特定クライアントのためにデータを買って分析していたことがある。その頃は、何と月1回CD-ROMに入ったデータを営業さんが持ってくるという方式だった。

そのニールセンだが、日本に参入してきた時は「こういうデータ供給は独占ではいけない」と言っていたと記憶しているが、実際米国でもテレビ視聴率データ市場はニールセンの独占である。しかし、ここに来て米国のテレビ視聴率データにおいて、ニールセンの独占が揺らいできたようだ。しかも、新たに競合してきたデータは従来のパネル調査データではなく、全数系データである。WPPが16.7%の株主になったRentrak社で、サテライトとケーブルテレビで接続されている3100万スクリーン、1400万世帯の視聴データを収集している。

Rentrak社は、セットトップボックス経由の数字を取ることを2009年からビジネスにしており、210のDMAs(米国のテレビエリア区分)はすべてカバーし、AT&T U-verse 、Dish Network、Charter Communicationの世帯データということになるのだが、これ以外の視聴者は基本カウントしていない。簡単に言うと、セットトップボックスに目掛けて配信するコンテンツ供給側のサーバーのデータを吸い取る形になっている。

一方でニールセンは、210のDMAマーケットを3種類の調査手法でカバーしている。
一つは日記式。紙の日記に記帳する方法で、配達された日記に個人が1週間記帳する。つまり翌週と重なった(くりこし、延長)サンプルは不在、毎週違う人となる。「全国」という場合、最も普及している個人データ調査方法で、153のDMAマーケットで行われている。

もう一つはセットトップボックス。
31の中規模DMAマーケットをカバーする。世帯別データであり、これによりOvernightデータが提供される。実は個人視聴率は、上記日記式が同時に配布され、収集される。これは2月、5月、7月、11月、のみ実施。「全国の個人視聴率」となるとこの日記式の4期間のレポートを待つだけなのだ。

そしてピープルメーター(Local People Meters=LPMs)。
2002年からこのLPMsが25のDMAで実施されている。これは世帯と個人の両方が取れるので紙記帳は配られない。Overnightにてデモグラ別のデータが取れる。契約世帯は2年の契約で365日24時間トラッキングされる。ただし、ほんの25DMAsのみ。

アメリカの割には案外、進んでいない感じもする。

アメリカでもニールセンのパネル調査では、ローカルのデータはあまり取れておらず、個人視聴率もまだ日記式が含まれる状況なのだ。そこでニールセンをアクティブ(能動的)視聴取得、Rentrakをパッシブ(受動的)と表現したりするらしい。

次ページ 「ターゲット別の視聴率をマーケティングに活かす」へ続く