2015年注目のデジタルマーケティングキーワード
難解で複雑なトピックを記憶に残し、共感を促す
通信環境の整備やスマートフォンの普及が進む中で、情報収集やコミュニケーションの手法は刻々と進化している。
「解説動画(Explainer Video)」は、そんなインターネット時代の新しいプレゼンツールとして欧米でクローズアップされている手法の一つ。テキストや言葉では伝わりにくいトピックを動画で理解させる手法で、幅広い用途に使えるのが特長だ。
その中でも、ドイツで生まれたsimpleshow(シンプルショー)は、難解なテーマを分かりやすく理解させることを得意としている。ネスレやP&G、IKEA、BMW、アウディ、マイクロソフト、GE、FIFAなど、多数のグローバルブランドを顧客に持ち、手がけた解説動画は4000本以上にのぼる。
simpleshowは世界9カ国に拠点を持つ。解説動画のプレイヤーは世界中で増えているものの、グローバル展開している同社は突出した存在だ。日本法人は2014年4月に営業開始している。
徹底したターゲティングと「物語化」がポイント
simpleshowは、2008年にドイツのシュトゥットガルトにある国立メディア大学で新たなコミュニケーションツールのあり方を研究する3人の学生が立ち上げた。現在も大学や研究機関と共に、より効果的な動画制作を目指して表現と心理変容の関係性を研究するなど、多角的なアプローチでノウハウを蓄積している。
simpleshowの動画は、基本的に人の「手」とシンプルなモノクロのイラストを用いてテンポよく解説していく。秀逸なのは、どんなに難解なトピックスも3分程度で理解できるように構成されている点だ。
simpleshowJapan代表取締役の吉田 哲氏によると、「最大の特徴は学術的な根拠に基づいた独自のフレームワークを持っていること。それによってコンサルティングファームのような機能を果たしています」と言う。
simpleshowでは、解説動画の制作前に、クライアントを交えて「脚本会議」を開き、徹底的にターゲットを絞り込んでいく。そして絞り込んだターゲットグループの観点から、トピックの構造を分析してコンテクストを決めていくという。
一般的に、クライアントは動画に多くのトピックスを盛り込もうとしがちだが、ターゲットにリーチさせるためには「トピックの最も重要な心臓部に焦点が当たるように、核心だけを削り出す必要があります」と言う。
削り出した核心部分を、独自のノウハウで「物語化」し、ターゲットグループに語りかけることで、見る人が共感を持ち「自分ごと」として捉え、理解を促すことができる。
シンプルなモノクロのイラストを使うことにも理由がある。「目的はメッセージを分かりやすく伝えることなので、ビジュアルのインパクトよりもナレーションの方が重要。視覚情報を減らしてナレーションに集中できるようにしています」。
ただし、クライアントの要望があれば、色や実写を使用するなど、様々なバリエーションにも応じている。
simpleshowの品質に対する姿勢は徹底している。同社のシンクタンク兼人材教育機関の「simpleshowアカデミー」では、制作ノウハウの全てを蓄積して社内で共有している。
専門家育成のためのEラーニング制度も充実しており、プロジェクトマネージャーやコピーライターなど、世界中のsimpleshowのスタッフ一人ひとりが職種ごとに新しいノウハウをアカデミーで学ぶ。
「アカデミーのデータと教育制度があるから、日本にいながらドイツ本社と同じクオリティーのものを作ることができます」と吉田氏。
simpleshowは、アカデミーが頭脳となりエンジンとなって、ワールドワイドに高品質の解説動画を提供することでクライアントの信頼を得ているのだ。
【参照】simpleshow Japan
http://simpleshow.com/jp
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