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審査員長は“NYの女王” カンヌライオンズ「性差別なくす広告を讃える」

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ワシントン・ポスト紙女性記者が、「ダブ」の女性を励ますキャンペーンを非難

「自分の顔、キライ」とツイートすると、ダブの公式アカウントが励ましてくれる

第87回アカデミー賞で、助演女優賞のパトリシア・アークエット氏が受賞に際し、「米国の女性は平等の権利を手にすべき」とスピーチしたことが議論を呼んだ。

開催に前後し、ユニリーバ「ダブ」は、Twitterを活用した「#SpeakBeautiful」キャンペーンを開始した。女性一般ユーザーがプロポーションに自信がない旨を投稿すると、公式アカウントが励ますというもの。アカデミー賞授賞式放送中をメインに実施された。華やかに着飾った俳優や女優を目にする夜、「素の自分の美しさに自信を」とアピールした。

同キャンペーンに対し消費者は、ソーシャルメディア上で2万9250件もの反応を示した。インターネットトレンド調査会社のAmobeeによると、その91%はポジティブな内容だったという。同じく授賞式放送中にソーシャルメディア施策を張ったコカ・コーラへの好意度は28%、サムスンが同23%、マクドナルドが同20%だった。

しかしTwitterでは違和感をもらすユーザーも見られる。公の場で非難したのはワシントン・ポスト紙の女性記者ケイトリン・デューイ氏だ。「ダブの目的は、商品を売りたいのを忘れさせることだ。いかにも人間的で、本当らしい親密さを演出している」と遠慮がない。ユニリーバがインドで美白用品を販売中のこと、男性用フレグランスAXEの広告が紋切り型のセクシーな女性を描いている点も問題提起している。

「ダブ」は2004年、「自分が美しいと思う女性は2%しかいない」との調査を発表し※、「すべての女性は生まれながらに美しい。それを証明する」とブランド価値を定め、​キャンペーンを続けている。モデルの写真を加工する動画「Evolution」、似顔絵を用いて他人から見た自分は思ったよりキレイなことを訴えた「Real Beauty Sketches」が話題となった。

いずれも、女性に対する偏見を壊すものとして、カンヌライオンズで評価され、「ダブ」の広告は、ほぼ常連化している。しかし、デューイ記者の挙げた美白用品や男性向け商品での広告表現も事実だ。カンヌライオンズが新設した「性差別・偏見を打ち破る広告」部門は、今回の施策を俎上に上げるかどうか、そしてどのような評価をするだろうか。

「Real Beauty」キャンペーンの系譜をつぐ今回の施策。これまでも議論を巻き起こしてきたが…。

※調査対象は日本を含む10か国、16~64歳の女性3400人


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