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審査員長は“NYの女王” カンヌライオンズ「性差別なくす広告を讃える」

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「2020年までに指導的地位にある女性の比率を30%に高める」といった安倍晋三内閣が掲げる政策で、日本でも女性の活躍を推進するための議論が活発になっている。一方で、偏見や固定観念による職場での性差別問題が世間を騒がせることも少なくない。企業の広告活動が、こうした問題を助長していないか。日本でも広告表現への配慮が求められそうだ。

国際広告賞「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」は3月2日、性差別や偏見を打ち破る広告表現を顕彰する特別部門、「Glass Lion(グラスライオン)」の設立を発表した。世界の女性の社会進出を支援するNPO「LeanIn.org」が協賛する。同団体の創設者は米フェイスブック最高執行責任者のシェリル・サンドバーグ氏。

新たな特別部門「Glass Lion」の審査員長を務める元BBHで「Queen of New York」のシンディ・ギャロップ氏。

審査員長は元BBHのシンディ・ギャロップ氏。英BBH入社後、中国系英国人の彼女は1998年、単身渡米し、ニューヨーク支社を設立。4年間でジョニーウォーカーやリーバイス、AXE(ユニリーバ)などのクライアントを開拓し、アドウィーク誌が選ぶ「イースタン・エージェンシー・オブ・ジ・イヤー2002」を獲得。翌03年には「アドバタイジング・ウーマン・オブ・ニューヨーク」にも輝いた。「ニューヨークの女王」とも評される。

新部門の追加でカンヌライオンズは全19部門となった。「グラスライオン」では、部門内にカテゴリーを設けない。広告対象や、予算の多寡、メディアの種別も不問。

カンヌライオンズでも進む女性進出 審査員長は19部門中6人に

カンヌライオンズ最高経営責任者のフィリップ・トーマス氏は特別部門の設立について、「誤った性観念と闘う広告を表彰することは、広告業界と社会に変化をもたらす活動となるだろう」と述べた。同広告賞は昨今、女性参画の一環で、審査員の女性比率を高めてもいる。2015年度の女性審査員長はギャロップ氏を含め全19部門中6人となった。PRやモバイル、サイバー、ダイレクトなどの部門が対象。14年は4人、13年は2人だった。

昨年、プロモ&アクティベーション部門の審査員長スーザン・クレドル氏の下で審査にあたったアサツー ディ・ケイの高野文隆氏は、「男性審査員長は独自の審査方針を掲げるタイプが多いが、スーザンは違った」と振り返る。「彼女の指示は、あらゆる角度から議論を尽くすこと。審査員一同で改めて応募作を見直し、広告の主旨を説明するビデオを300本以上、多いものは1本につき4、5回は見た。ヘビーな体験だったが印象的だ」(同)。

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