規格に強い欧州勢、韓国は2018年に5Gオリンピックを目指し、日本もTokyo 2020の5G化を準備
いまさら説明するまでもないかもしれないが、モバイル通信の運営や整備は各国のキャリアが行う事業である。一方、Facebookなどに見られるように今やサービスは世界的な規模で展開されている。今後世界中で5Gのような品質とスピードの通信が普及するためには各国が通信の規格などを統一する必要があるが、これはなかなか容易ではないのはご想像の通り。しかしこの取り組みは特に欧州統合(EU)の取り組みを進めてきたヨーロッパが先行していると筆者は考えており、実際に各国のキャリアからはそのような発言が多かった。上記はキャリア(TELCO)と通信規格の整備(Regulation)はマーケットの現状を見なければいけないというスライドであるが、今後も規格面では経済圏内の統一必然性が強いヨーロッパ勢がリードしてゆく構図が見られそうだ。
一方で、高速通信の整備はアジアでのオリンピックを契機に飛躍的に発展しそうだ。上記の2つのスライドはKorea Telecom(KT)の黄昌圭(ファン・チャンギュ)会長が行ったプレゼンテーションより抜粋したものであるが、2018年の平昌(ピョンチャン)オリンピックでは韓国は5G体験を提供すると約束したのである。また、「無人自動車が周辺環境を把握して判断するには1秒当たり1ギガバイトの情報を処理できなくてはならない」として自動車の自動運転を始めとするIoT (Internet of Things)化に関しては5Gのインフラが不可欠とした。さらに現地時間の3月1日にはNTTドコモ、中国チャイナモバイルと韓国KTが5G技術開発協力推進に合意したと発表しており、2020年の東京オリンピックに向けて5Gのインフラやサービスがアジアを中心に発達してくるのではないかと期待が高まる。
日産のゴーン氏も発表 会場の随所に展示されていたコンセプトカー
先のKT黄会長が述べたように、次世代の自動車に通信技術の進歩は不可欠であり、業界を代表する形で日産自動車のカルロス・ゴーン社長が登壇した。(下の写真)
ゴーン社長は通信技術の発展により数年後に渋滞時の運転や高速運転、その後に車線変更、その他の複雑な運転ができるようになるという見方を示して、通信業界に大きな期待を寄せた。また、インタビュアーからの質問で「アップルの電気自動車参入」に関しては「電気自動車の認知向上につながる」として歓迎する意向を示した。この話を裏付けるように各社キャリアのブースには随所に自動車が展示されていた。この業界も通信技術の向上とインターネット接続によって様変わりする可能性を示すものとなったと言えるのではなかろうか。
「i(アイ)トレンド」バックナンバー
- すべてのマーケティングがサブスクリプション化する?~マーケティング協会のイベントで感じたこと~(2018/5/11)
- 高付加価値経済の実現のために、なぜ賃上げが有効なのか(2018/4/23)
- デジタルテクノロジー/マーケティングの進化で実現するシェアリングと所有の二極化経済(2018/3/13)
- 2018年の日本はデジタルテクノロジー・マーケティングの進化により、ようやく適正価格の高付加価値エコノミーに進化する(2018/1/26)
- ピザ生産遅延、無料クーポン行列、集配遅延はなぜ起きたのか?(2016/12/26)
- まだ始まっていない日本航空の「どこかにマイル」の大ヒットを予想する理由(2016/12/01)
- AI(人工知能)は人類を超えるのか?(2016/7/20)
- カンヌ・サイバー部門総括「社会派の作品はチタニウムに集約へ」(2016/6/24)
新着CM
-
コラム
プロ野球はファンが最優先―経営企画視点のライオンズ流「シン・広報戦略」
-
AD
宣伝会議
【広報部対象】旭化成のグローバル社内イベント成功事例を紹介
-
コラム
広報PRパーソンの「スキルマトリックス」をつくってみた、という話
-
クリエイティブ
「HCC賞」(北陸コピーライターズクラブ)グランプリに、木下芳夫・手代木聡氏によ...
-
クリエイティブ
クリエイターの仕事と役割はどう変わる?――『ブレーン』6月号発売中
-
AD
マーケティング
各部門の共通認識をつくり、「お客さま目線」を貫くブランドに―セブン銀行グループ
-
販売促進
文藝春秋が期間限定オープン 販売部数が最大16倍の「本音屋」 とは
-
特集
「宣伝会議賞」特集
-
人事・人物
【人事】電通(2024年6月1日付、7月1日付)