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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

ネット動画は、もはや堂々たるエンタテイメントの場であり、最先端のブランディング手法でもある。

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【前回記事】「テレビがウェブになり、ウェブがテレビになる。そこに新しい広告の可能性が見えてくる。」はこちら

テレビマンが企画し、映画監督がつくったネット動画

2014年はネット動画元年だったとか、2015年はネット動画が活性化するとか言われています。この連載も、ネット動画についてもっと知りたい!という声にこたえるべく企画されました。実際今年は、ネット動画がますます動き出しそうです。

ネット動画への興味は、どのような点でしょうか。テレビCMより低予算でできそうだ。動画にはアピール力があるから。なんとなく動画は楽しそうだから。いろいろでしょうけど、やはり「低予算」というのは重要なファクターなのでしょう。

テレビCMに比べると確かに低予算で済みます。制作だけで何千万もかかるし、十分に認知を図るには、数億円はかけないといけない。そんなテレビCMに比べると“安くすむ”のはまちがいないでしょう。

実際、これまでテレビCMを作っていた制作会社が「ネット動画って儲からないっすよねー」と言いながら無理したり頑張ったり新たな手法を開拓したりしてネット動画に取り組んでいます。確かにこれまでのCM制作には、クオリティを追求するあまり予算が肥大していた面はあります。ここでコストがかからないよう制作プロセスを見直すのは必要かもしれません。一方で、そんな低予算で無理して長尺のネット動画を作って、クライアント側のためになっているのか、という事例も多い気がします。こんな動画じゃ、誰も見ようと思わないし、見てもネガティブな印象になっちゃうんじゃないか、と。

また、そもそも動画サイトはYouTubeにしても、アマチュアの投稿動画の場です。アマチュアらしい、やんちゃさ、安っぽさがかえっていいのですが、それをそのまま活かすのは企業ニーズに合わないかもしれない。ネット動画は、もっと本格的に作られるべきだ。そういう段階に来ているかもしれません。広告目的で企業が制作するものは、クオリティを問うべき段階ではないでしょうか。

ここでご紹介したいのが、「ネスレシアター on YouTube」です。下記リンクから、いくつか映像を見てみてください。
(ちなみにネスレ日本の公式チャンネルでは、ゲーム実況を365日毎日配信している動画もあります)

ネスレシアターWEBサイト

いや、ネットメディアなんだから、その映像をここで見てもらうのが早いですね!この映像をぜひ、いますぐ見てください!

第一話(続けて第二話、第三話とスタートするので一気に見てしまいましょう)

この動画の制作に関わっている吉田正樹氏は2011年からネスレの依頼のもと、多様な動画をプロデュースしてきています。

吉田氏は、2009年までフジテレビの社員でした。いまや伝説となった『夢で逢えたら』をはじめ『やるならやらねば』『笑う犬の生活』など往年のフジテレビのバラエティのそうそうたる番組群を作ってきたプロデューサーです。いまは吉田正樹事務所を設立し、多様な分野で活躍されています。

そんなテレビ界の実力者が、ネスレのオーダーを受けてネット動画を制作している。そのことがまず、重要です。そしてこの作品はタイトルから類推できるように『踊る大捜査線』で知られる本広克行監督が“総監督”としてクレジットされています。『踊る大宣伝会議』というタイトルには、本広監督が関わっているよ、と想起させる遊びが入っているわけです。

吉田正樹プロデュースにより(クレジットでは“企画”ですが)本広克行監督が中身をつくる。プロ中のプロが制作した映像。出演者もテレビや映画のレベルです。そういうネット動画が出てくる時代になったのだと言えます。

物語も面白いです。ぜひ第三話まで見てください。コーヒーのCMを2つのチームが競い合って企画しプレゼンすると、最後にでき上がったのは…という広告業界にかなり踏み込んだ内輪話であり、一種のメタフィクションになっています。実にハイブローです。

この「ネスレシアター on YouTube」で映画監督がドラマを制作するシリーズは第二期に入っていて、2013年度の第一期のものも一部はいま視聴できます。そのどれもがクオリティが高いです。たんに映画監督とプロのスタッフが作ったから映像として質が高い、というだけでなく、物語としてほんとうにレベルが高い。映画並み、いや映画以上?ネスレさんが作ってというから作ったよ、というレベルではない。各監督が本気で取り組んだのが伝わってきます。

それから、第一期と第二期では商品の扱い方がちがうのだそうです。

次ページ 「第一期の本広監督作品『Regret』を見てください。」へ続く