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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

ネット動画は、もはや堂々たるエンタテイメントの場であり、最先端のブランディング手法でもある。

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いいコンテンツには力がある

さて、ネット動画元年を経て、これからネット動画が稼働していく2015年、私たちはこの「ネスレシアター on YouTube」から何を学べばいいのでしょう。

プロ中のプロが作った映像はパワーがある、というのはありますが、それとは別にスポンサー側とクリエイター側が一緒につくった、という点が大事だと思います。商品の機能やスペックだけでなく、ブランドとして持つ理念や哲学を共有しているからこそ、この物語が生まれました。この物語にとって商品はなくてはならない存在です。たんなる情報ではなく、もっと有機的な存在として見た人の心に残るでしょう。

クリエイターがブランドの本質を理解してくれて上質なエンタテイメントを完成させてくれた。その価値は、広告効果以上のものになっているはずです。もちろん見た人にもたらす効果も大きい。15秒30秒のCMを流して認知を図るのとは、まったく別の意義がそこにあるのだと思います。

それからもうひとつ、予算のとらえ方にも学ぶべき点があります。何千万円もかけるネット動画はまだ他にあまり例はないでしょう。それは“高い”のでしょうか。

例えば、認知を図る際は、マス広告が最適でしょう。でも多くの人に認知させるには億単位の予算が必要になります。

でも確保できる予算が数千万円の時、マス広告がほんとうに最適かどうかは議論の余地があるはずです。ひょっとしたら数千万円かけてコンテンツをつくる、という選択肢もあるのだと思います。「ネスレシアター on YouTube」で学ぶべきなのは、ネットという媒体を選んだことの前に、魅力的なコンテンツを制作した、という点なのです。良質なコンテンツができれば、ネットにも置けるし世間に注目されるし映画祭もできる、ということ。コンテンツ自身が人を惹きつける力、見た人に与える影響力。そこには計り知れない効用があるのだと思います。

この連載の中で私は何度か、ネット動画だから安く制作する、という発想はやめたほうがいい、と訴えてきたつもりです。安くできると聞いたのでネット動画を作りたい。そんな発想では、見た人が「なんか、安っぽーい」と感じてしまう映像しかできないでしょう。そうではなく、いいコンテンツをつくりたい、いいコンテンツには力があるはずだ、そんな考え方で臨んでほしいと思います。

いいものつくってほしいんです!こんなコンテンツにしてもらいたい!でも予算はこれだけなんです!そんな風に熱く語れば、クリエイターは純粋なので、がんばりましょう!と言ってくれるかもしれません。結局大事なのは、予算より情熱だったりします。情熱さえあれば、紹介した動画のタイトルにある通り、「ルールを変える」ことだって可能になるのだと思いますよ。