アップルウォッチから考えるIoTとマーケティングの未来


【前回のコラム】「戦略は「有限な資源」が決める、マーケティングで考えるべき新たな資源とは」はこちら

アップルウォッチは高機能化を目指していない

Canadapanda / Shutterstock.com

アップルウォッチがいよいよ発売され、スマートデバイスが電話や手帳のようなインターフェイスを超えて、腕時計というウェアラブル端末として生活のなかに入ってくるようになりました。これは単にスマートフォンの拡張としてのウェアラブルと考えるよりも、「インターネット・オブ・シングス(IoT)」や「インターネット・オブ・エブリシング(IoE)」の流れとして捉えるべきではないかと思います。

というのも、時計という端末は、どう考えてもスクリーンの大型化が激しいスマートフォンの潮流と比較すると「貧弱で機能縮小」しているように見えるからです。一部の人にとっては、スマートフォンと連携するだけの玩具のように見えてしまうでしょう。

時期を同じくして米アマゾンが、「ダッシュ・ボタン」と呼ばれるシンプルなデバイスを開発して、プレミアム会員向けに無料で提供することを発表しました。これはアップルウォッチと同様、スマートフォンの進化のように多機能化、高機能化するのではなく、非常に単純な目的のために役割を特化したデバイスを目指しています。

ダッシュ・ボタンは、生活用品などのブランドのロゴマークが付いたボタンを押すだけで、アマゾンでその商品が発注され、届けられるという仕組みです。あまりに単純で驚くかもしれませんが、これは彼らのサイトにある「ワンクリックボタン」をそのまま物理的に具現化したものです。しかし、このシンプルなアイデアによって、いままでの「デバイスを起動する」「ネットを立ち上げる」「サイトを開く」「ログインする」「商品を探す」などの一連のインターネットでの行動プロセスが省略されています。このデバイスが消費者にもたらす便利さそのものがマーケティングと言えるでしょう。

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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