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コラム

AdverTimes DAYS 2015

ブランドのトーン&マナーをつくる~動画コンテンツによる新しいブランディングの形

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動画制作の目的は明確に、表現は豊かに

津田:ネスカフェアンバサダーは2012年秋に始めた取り組みで、認知は上がってきたものの、その価値や仕組みへの理解がまだ十分ではないという課題がありました。そこで、アンバサダーが活躍する姿をドラマとして描くことで、アンバサダー自体の理解を深めていきたい。さらに言えば普通の動画ではなく、クオリティの高い映画に匹敵するような映像を無料で提供することで、ブランドの価値も上げていきたいと考えました。
またターゲットである夜遅くまで働く方々には、テレビCMだけではどうしてもリーチできないという課題もありました。こうした方々が何で情報を得ているかといえばスマートフォン。電車での移動中や夜勤の休憩時間など、その人のワーキングスタイルに合う形で観てもらうためには、スマートフォンでも観ることができる動画が一番可能性があるだろうという判断もありました。

熊谷:当社がアニメーションを選んだ理由は若い世代に向けて、というほかに、もうひとつ理由があります。現在YKKグループは、世界71の国と地域で事業を展開しています。その中で、アパレルや縫製産業で勢いのある地域の一つが東南アジア地区。そこでブランドをきちんと浸透させたい。国内だけではなく、世界にメッセージを発信できて、なおかつ若者に届けたいと考えときに最適な映像表現が、アニメーションでした。目的を達成する最適な手段を検討した結果、アニメーションを選んでいます。海外展開を見据えて、登場人物も特定の国ではなく、どの国の人ともとらえられるようなキャラクターデザインにしています。

津田:制作の過程で監督たちと一番議論したのは、動画を「広告にしてはいけない」ということ。動画広告になると、みんな繰り返し見ることはなくなってしまいます。繰り返して何回も見ていただけるような「面白さ」が肝です。よって、ストーリーや内容については、私たちはあまり口を出さずに監督にお任せしたところ、広告っぽさはなくなり、ストーリーや登場人物のキャラクターが際立ちました。

熊谷:私たちも監督にお任せしました。映像にファスナーはたくさん出てくるのですが、企業名は極力出さないでほしいとお願いしました。エンディングまで出てきません。映像に登場するファスナーは、いろいろな機能を持つ商品を事前に監督にお見せして、そこから自由にイメージを膨らませて表現していただきました。

——今後の動画制作を考えている人たちに、ご自身の経験から伝えておきたいことをお願いします。

津田: 動画は一度制作すると、後々いろいろな展開が可能です。一度だけポンと打ち上げるのではなく、ほかのものと掛け合わせるなど、フレキシブルに、かつ長期的に計画したほうが効果的ではないかと思います。
意外と忘れがちなのは、動画を観る人はもはや若い人たちだけではないということ。面白ければ、上の世代も観てくれます。そして当然のことながら、誰が見ても「面白い!」と思える企画であるかどうか–。面白いものであれば、広告・PR費をかけずとも口コミで広がっていきます。ですので、制作に携わる皆さん自身が本当に面白いと感じられる企画を考えられるかどうか、そこが肝だと思います。

熊谷:「FASTEING DAYS」を公開時は目標再生数100万回でしたが、ご好評いただき今では300万回に。特に、私たちの事業がいままさに力を入れている東南アジア地区での再生数が伸びています。こうして注目いただけたことを、今後いかに事業活動に繋げていくのか。これからそのことを考えていかなくてはなりません。
実際に制作して感じたのは、「最近流行っているから動画を作ろう」という考えで始めてしまうと、肝心のゴールが見えなくなってしまう危険があります。結局どんな目的で、それを誰に伝えたいのか、そこを明確にした上で制作に臨むことが大事だと感じました。


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