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コラム

『編集会議』の裏側

若手編集者たちが語る、“編集1.0→2.0”

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編集者は黒子ではなく“会いに行けるアイドル”に

____コンテンツをつくる上では、どのようなことを意識していますか。

徳:自分事化から始めるということです。私自身が傍観者ではなく、当事者であることは常に意識しています。自分の問題意識を企画にするというのは、『U25 ~』がまさにそうで、当時、私自身が25歳でこれからの働き方に興味があると同時に、友人など周りにも会社を辞めたいと悩んでいる人が多くいました。同じ目線に立って、どんな問題意識を持ち情報に触れているかを意識しながら、その後の展開も工夫しました。はじめは自分が興味のないテーマであったとしても、見方を変えることで、自分が一番面白がることも大事にしています。

佐野:「灯台もと暮らし」も、メンバーそれぞれの目線や価値観に合わせた視点を大切にしていて、私自身もライフステージに合わせたコンテンツづくりを意識しています。あとは、一次コンテンツをつくり続けることと、人に焦点を当てること。いまの時代、どれだけオシャレでカッコいいものであっても、それを伝えるだけでは読まれないし、売れません。対象の裏側にある背景やストーリーまで汲み取って、つくり手と書き手の想いを一緒に届けることが大切だと思います。少し前までは、編集者は黒子であるべきとされていましたが、これからは“会いに行けるアイドル”くらいになってもいいのではないかと思うんです。「会いに行ける編集長」である今井さんのように…(笑)。

今井:うまく話を振られました(笑)。これは理想であり仮定の話ですが、帯に“編集今井”というハンコが押せるような編集者になれたらいいなと思っています。著者が誰であれ編集者が今井なら買うという状態がつくれれば、すばらしい才能を好きなだけ世の中に売り込めます。星海社の編集者は全員、実名・顔出しで、担当した書籍の奥付にも名前を入れています。

徳:既存のメディアに限らず、面白いと思った人やコトに温度を加えたり見せ方を変えたりして、人に伝えていくことが編集の仕事だとすれば、できることは無限にあると思います。つくるプロセスやその背景にある物語を伝えることで、共感を得て人を巻き込んでいくことも、一つの編集の仕事なのかもしれません。いまはSNSで読者とも簡単にコミュニケーションがとれますし、可能性は広がっていますよね。

今井:ネットも有用だと思っています。僕の場合、FacebookやTwitterでうるさいぐらい情報発信しているのもあって、一度ご挨拶をしただけの人でも、次に会ったときには「○○好きなんだね!」と、やたらフレンドリーにしてくださったりするんです。最近「会いに行ける編集長」のためにニコ生の人気生主の放送を研究しているんですが、やはり全部さらけ出している人が面白い。良いところだけじゃなくて、嫌なことや怒ったことなども見せて、企画が世に出るまでのストーリーにも共感してもらえるといいなと思っています。

※この続きは、『編集会議』2015年秋号(9/16発売)でご覧ください。

佐野 知美
Wasei 「灯台もと暮らし」編集長

1986年生まれ、新潟県出身。横浜市立大学卒。三井住友VISAカード、講談社勤務を経て、フリーランスの編集・ライターに。現在はこれからの暮らしを考えるWebメディア「灯台もと暮らし」編集長。イベント主催やオンラインサロン「編集女子が”私らしく生きるため”のライティング作戦会議」主宰など。生き方を模索中。

 

徳 瑠里香
講談社 「現代ビジネス」編集部

1987年、愛知県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。ディスカヴァー・トゥエンティワンにて『U25 SURVIVALMANUAL SERIES』という25歳以下の若者に向けた書籍シリーズを創刊、企画編集、時々ライティング。現在は講談社のWebメディア「現代ビジネス」に所属。

 

今井 雄紀
星海社 アシスタントエディター 「ジセダイ」編集長

1986年生まれ(早生まれ)。新卒でリクルート関連会社に入社。4年勤めたのち、「Webと紙の書籍、イベントを組み合わせた新しい出版事業をつくる」という志に共感し、2012年から星海社に合流。担当企画に『声優魂』『キャバ嬢の社会学』『アニメを仕事に!』『夢、死ね!』『全裸対談』『アフター5の女王たち』など。

edit-spinout

『編集会議』2015年秋号
9月16日発売 定価1300円
事前予約もいただけます。


特集「新時代に求められる“編集2.0”」
「良いものをつくれば売れる(読まれる)」という時代が終わり、読者・ユーザーに「どう届けるか」という“コミュニケーションを編集する力”が問われるなか、編集にはどのようなアップデートが求められているのか。編集を再定義しようとする考え方や取り組みを通じて、これからの編集のあり方について考える。

・KADOKAWA×宝島社×LINE「新時代の編集者の採用基準」
・オンラインサロンに見る、体験をサービスとして設計する編集力
・若手編集者が語る1.0→2.0の間

特集「コンテンツマーケティングを生かすオウンドメディア戦略」
—100社に聞く オウンドメディア運用の実態
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特集「本の最前線はいま 書店会議」
—出版界の勢力関係を解き明かす 出版界カオスマップ

連載「書く仕事で生きていく」
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