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コラム

『編集会議』の裏側

若手編集者たちが語る、“編集1.0→2.0”

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『編集会議』2015年秋号(9月16日発売)の特集「新時代に求められる“編集2.0”」では、いま注目の若手編集者たちが登場。
紙とWeb、異なる主戦場を持つ85、86、87年世代の3人は、迫られる編集者としてのアップデート(1.0→2.0)をどのようにとらえているのか。
ここでは、記事の一部を一足先に紹介します。

(左から)星海社 アシスタントエディター 「ジセダイ」編集長 今井 雄紀 氏、
講談社 「現代ビジネス」編集部 徳 瑠里香 氏、Wasei 「灯台もと暮らし」編集長 佐野 知美 氏

どのようにコミュニケーションをデザインするか

——それぞれ自己紹介をお願いします。

佐野:大学卒業後、三井住友カードに入社し、3年間の営業経験を経て、念願だった出版業界に転職しました。その後、講談社の広告関連の部署でアシスタントを務めながら、フリーライターの活動を開始。現在はこれからの暮らしを考える「灯台もと暮らし」というWebメディアの編集長を務めています。

徳:新卒でディスカヴァー・トゥエンティワンに入り、1年目は書店の営業をしていました。2年目に編集部に異動し、『U25 SURVIVAL MANUAL SERIES』というU25(25歳以下)向けのシリーズ本を手がけました。その後、受け手の情報摂取が紙だけでなくWebやスマホへ広がっていくにつれ、Webメディアの編集もやってみたいと思うようになり、現在は講談社の「現代ビジネス」で編集をしています。

今井:僕はもともとリクルートコミュニケーションズという会社にいて、主にWebまわりのディレクションなどをしていました。知り合いの伝手で以前の上司である柿内芳文さん(現コルク)と出会ったことがきっかけで、星海社に移りました。星海社は正社員がいないフリーランスの集団なので、一応独立したことになります。

佐野:「灯台もと暮らし」編集部は、昭和・平成の両世代の20代の編集者で構成されています。従来のマネタイズ手法である広告収益モデルではないメディアのあり方を探りたいと思い、メディアプラットフォームのnoteで、メディアづくりの舞台裏を明かす「もとくらの袋とじ」という有料マガジンを運営しています。今日はどこに取材をしてきたかといったことから、記事にできなかった部分を含めた全文の書き起こしや録音音声の公開、イベントなども実施しています。Webメディアを軸に、どのようにコミュニケーションをデザインしていけるのかを模索しているところです。

徳:「現代ビジネス」に移って2年近くが経ちましたが、日々編集やライティングをしながら、Webメディアという枠にとらわれずにどうコンテンツを届け、メディアとしてマネタイズしていくのかを考えています。そうしたなかで最近、企業にスポンサーになってもらい「ぼくらのメディアはどこにある?」という、一つのテーマを掲げた期間限定のメディアを立ち上げました。これは、既存のメディアのちょっと外側に出て、メディア化する「企業」「個人」「場所」という切り口で新たなメディア体験を探しに行こうというものです。企業とタッグを組んで一つのメディアをつくるというのは、これからのメディアのあり方のヒントになるかもしれません。

今井:星海社は「強い編集者によるワンエディター・マルチユース」をモットーにしている会社であり、良い編集者は何でもつくれるということで、本当にいろいろなことをやっています。書籍の編集以外にも、例えば、新書企画の相談を受け付け、その様子をニコニコ生放送で公開する持ち込み企画「会いに行ける編集長」というコンテンツの配信などもしています。

____読者・ユーザーに「どう届けるか」という“コミュニケーションを編集する力”が問われている状況について、どのようにとらえていますか。

今井:まだまだ力不足な場面も多いのですが、もともと広告の世界にいたので、モノをつくるだけでは誰も見てくれないし、どう届けるのかを考えるのは当たり前という感覚でいますね。

徳:たしかに、私たちにとっての編集は、どのように届けるかということも含まれていますよね。良いコンテンツをつくるだけでなく、受け手側の日常に入り込む。そこでコミュニケーションをすることも含めて、コンテンツを届ける道筋をつくるのが、編集者の仕事だと思っています。

佐野:受け手の情報に対する接し方が変わってきている以上、発信の仕方も変えていく必要がありますよね。例えば、これまでは座って本を読んでいたのが、いまは歩きながらスマホで記事を読むことが普通になっているわけで、そうすると当然、届け方にも変化が求められているのだと思います。

次ページ 「編集者は黒子ではなく“会いに行けるアイドル”に」へ続く