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「共創」による価値づくりで、価格競争・同質化を抜け出すには?楽天EXPO2015フォーラムレポート(後編)

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お客さんとのコミュニケーション量が激増する「遊び方」

では、お客さんとのコミュニケーション量を増やすにはどうしたらよいでしょう。答えはシンプルで、“一緒に遊ぶ”です。

この点、私が楽天に入った1999年ころの事例がまさに「温故知新」で参考になります。当時は「ネットショップ=うさんくさい」という時代で、いくら商品をアップしても、値段を下げても、ほとんど売れません。なので、まずはお客さんに遊んでもらえる参加型企画を開催して、コミュ量を増やし、「面白いお店だな」とわかってもらうことによって初めて商品を買ってもらえるようになる、という状況がありました。

たとえば、たまごを扱う「卵の庄」さんは、「卵の黄身 vs. 爪楊枝」と題して黄身に爪楊枝が何本刺さるかをクイズにしました。正解すると、16本の爪楊枝が刺さった黄身の写真が出てくる仕組みで、お客さんは楽しみながら「ここの卵、スーパーのとは全然違いそうだな」という印象をもってくれるようになります。

面白おかしいメルマガで人気を博していた「成田ゆめ牧場」さんは、「牛のツノ」をオークションにかけました。「もし入札ランキング1位になったら、入札者だけにメルマガ特別号をお送りします。落札者には相当額の商品をプレゼントします」という企画です。ページは異常にシンプルで、商品名が「ツノ」だけ、写真も単に証明写真のようなツノ画像だけです。まず、メルマガを読んだ「成田ゆめ牧場」のファンが面白がって入札しました。するとあっという間に1000件以上の入札があり、ランキングに入ります。すると「成田ゆめ牧場」を知らないお客さんも「これはなんだろう?」と見に来にきます。見たところでツノの画像があるだけなのですが、「なんだか盛り上がっているから」という理由で入札者が増えていき、最終的に3500件超、3万5000円で落札されました。

香川のうどん店では「店長がうどんを打ちに行く券」をオークションに出したところ、長野のお客さんが落札。店長が真っ暗なうちから始発に乗ってその方の自宅まで行き、ぎこちなくあいさつをするところから、一緒にうどん打ちして食べてもらい、最後には別れが惜しくて涙ぐんだ・・・という一連の活動報告がページにアップされていました。それを第三者が見ると、純粋に楽しいのに加えて、店長の人柄も伝わってくるわけです。このような活動やコンテンツづくりは、売り上げアップに直結しないかもしれませんが、地道にコツコツ続けていくといつか「量が質に転化」するブレイクポイントを迎える、そういうことが往々にして起こるのがソーシャル時代なので、当時に比べてもやる価値は大きくなっていると思います。この「売り上げと直結しない遊び」がダイエット3原則の「休養」にあたると考えると、しっくりきます。

次ページ 「動的コマースのために「1パーセントの遊び」を持つ」へ続く


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