ファッション業界とIT業界のトップが集まり、ファッションの未来を共に考えるイベント「Decoded Fashion Tokyo Summit 2015」(デコーデッドファッション)が今年7月、東京で初開催された。デジタルテクノロジーの進展はファッション業界にあらゆるフェーズで抜本的な変化をもたらしている。雑誌『WIRED』編集長の若林恵氏、三越伊勢丹ホールディングスで新たな事業開発に取り組む北川竜也氏、ファッション・ビューティー分野に特化したブランディングエージェンシー「SIMONE」を率いるムラカミカイエ氏に、電通の京井良彦氏が「ファッション×テクノロジー」が向かう未来について聞いた。
日本のファッションビジネスは60年更新されていない!?
京井:
今日は、ファッションとテクノロジーの融合をテーマにディスカッションできればと思います。タイトルの「デコーデッドファッション」は、元CBS報道プロデューサーのリズ・バセラー氏が2012年にニューヨークで創設した、ファッションとテクノロジーの融合を目指すカンファレンスイベントです。今年7月「ファッション・イン・ザ・デジタルワールド」というテーマで日本に初上陸しました。コンデナスト・ジャパンが主催で電通もお手伝いさせていただいています。今日お越しいただいた3人は、いずれもこのイベントに登壇されたスピーカーの方々です。
北川:
三越伊勢丹ホールディングスで、秘書室特命担当という怪しい役職を(笑)いただいています。元はアメリカのNGOで国連関連のプロジェクトを担当し、帰国後コンサルを経て、Eコマースで日本の希少な品を世界に販売するビジネスをしてきました。そこでつくづく感じたのは、ITは仕組みにすぎず、そこに載せるリアルコンテンツこそが肝心だということ。全国の展示会で商品の情報を集め、死ぬ気でコンテンツを開拓してきました。その中で三越伊勢丹の大西(洋)社長に会い、百貨店にはインターネット業界の人間垂涎のリアルコンテンツが山盛りあることに衝撃を受けて、2013年、思い切って大企業にジョインしたんです。デジタルを使った新規事業創出を担当し、この春からは新設の特命担当として、縦割りの組織の壁を超えた新たな価値をつくるミッションに取り組んでいます。

