「まちをより良くするために、自分自身がかかわっているんだ!」そんな都市に対する市民の誇り=「シビックプライド」は、市民一人ひとりに行動する力をもたらし、また都市を未来へと動かす推進力ともなります。東京国際フォーラムで行われた「宣伝会議 プロモーション&クリエイティブフォーラム2015」では、「シビックプライドとシティプロモーション」をテーマにした講演が行われました。ここでは、その内容を紹介します。
登壇者
- シビックプライド研究会 代表(東京理科大学 理工学部建築学科 教授)伊藤 香織 氏
- シビックプライド研究会(SJ代表、編集家、プロジェクトエディター、デザインプロデューサー)紫牟田 伸子 氏
紫牟田:
皆さま、こんにちは。本日は、シビックプライドとは何か、そしてシビックプライドとシティプロモーションの関係、シビックプライドにとってプロモートすることがいかに大事なのかについて、お話します。
自己紹介をしますと、私は美術出版社で美術デザインの本を編集した後、日本デザインセンターを経て、2011年より個人事務所を開設し、デザインプロデュースを行っています。まちと人にかかわる仕事、「物事を編集し、それを可視化、価値化させる」仕事に多く携わっています。
シビックプライド研究会の立ち上げメンバーとして活動し、08年にシビックプライドを育むさまざまな海外のデザインや事象を集めた『
』を、また今年9月には国内事例を中心とした『
』を上梓しました。
シビックプライドについて理解するために、まず紹介したいのが、「復興の狼煙ポスタープロジェクト」です。東日本大震災の後、いち早く始まった活動で、その中の一枚のポスターに私は衝撃を受けました。「前よりいい町にしてやる。」のキャッチフレーズと、カメラを睨みつけるように立つ若者の姿。瓦礫の中に立ち尽くすしかない被災者を再生へと奮い立たせる気持ちを代弁したものでした。「前よりいい町にしてやる。」まさにこうした自負がシビックプライドなのです。
