“無料”はなぜダメなのか
前回のコラム
で筆者は、ネットショッピングの“送料無料”など無料をアピールして顧客を呼び込む戦略は商品の正しい価値を伝えられないということや、実際には色々なコストがかかっており、そのゆがみを一部に負荷をかけることで受け止めていることを指摘した。
そしてマーケティングの4PのPriceについて、それを価格だけと捉えると商品やサービスの真の価値を伝えきれない場合が多いことから、”Perceived Value” (知覚価値) と考えるべきではないかと提言をした。
企業間の競争が激化すると、一部サービスの無料化あるいは値引きを期待する消費者が増え、企業収益や場合によっては製品カテゴリ全体に対する不利益を生じさせることとなるだろう。その「負のスパイラル」はいかにして起きるのか。以下で詳しく見ていきたい。
負のスパイラル発生のメカニズムとは?
では一体どのように負のスパイラル化してゆく可能性があるかを考えてみよう。
(1)企業Aが“無料”や“低価格”を訴求することにより消費者が集まる。その中には価格に敏感な顧客もいれば、価格には敏感でない顧客も含まれる。
(2)顧客を奪われたライバル企業(仮にB、C、Dとする)が“無料”や“低価格“で対抗する。この時点ではカテゴリ全体が拡大する可能性があるが、それは価格に敏感な顧客が流入することによるものだ。さらに継続して価格訴求をすることによって、既存の顧客も価格に敏感になってくる。
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江端 浩人(事業構想大学院大学教授)
米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、2005年日本コカ・コーラ入社、iマーケティングバイスプレジデント。2012年9月から日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長。2014年11月よりアイ・エム・ジェイ執行役員CMO。2017年3月ディー・エヌ・エー(DeNA)入社。現在、同社執行役員メディア統括部長兼株式会社MERY副社長。
日本コカ・コーラ在職中は、同社が運営する会員制サイト「コカ・コーラ パーク」を開発し会員数約1200万人、月間PV約10億を誇る巨大メディアに成長させた。
日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会が主催する「Webクリエーション・アウォード」で、2010年度の最高賞「Web人大賞」を受賞。2014年に日経BP広告大賞を受賞。2012年4月に開学した「事業構想大学院大学」の教授に就任。日本マーケティング学会会員。
米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、2005年日本コカ・コーラ入社、iマーケティングバイスプレジデント。2012年9月から日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長。2014年11月よりアイ・エム・ジェイ執行役員CMO。2017年3月ディー・エヌ・エー(DeNA)入社。現在、同社執行役員メディア統括部長兼株式会社MERY副社長。
日本コカ・コーラ在職中は、同社が運営する会員制サイト「コカ・コーラ パーク」を開発し会員数約1200万人、月間PV約10億を誇る巨大メディアに成長させた。
日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会が主催する「Webクリエーション・アウォード」で、2010年度の最高賞「Web人大賞」を受賞。2014年に日経BP広告大賞を受賞。2012年4月に開学した「事業構想大学院大学」の教授に就任。日本マーケティング学会会員。
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