——なるほど。これだけネットも含めてユーザーのチャンネルが多様化した今、テレビ局は、ただ面白いテレビ番組をつくるだけではダメで、そもそもユーザーがテレビをつけたくなる動機づけから考えていかねばならない時代になった、ということですね。それはつまり、ネットメディアで言うところの誘引施策です。
ただ、僕はやっぱり、テレビ局が突然ネットにすり寄って、ネット企業と同じような目線で番組を作り始めるのは何だか寂しいなあ、って思うんですよ。今もキングオブメディアであるテレビならではの、コンテンツの作り方、戦い方があるんじゃないか、と。
例えば、土屋さんの手掛けた「進め!電波少年」然り、角田さんが手がけた「さんまのからくりTV」「オトナの!」然り、僕の記憶に残る番組は、どれも効率重視・データ重視の発想からは生まれないコンテンツでした。「電波少年」なんて先のこと、何も決まってないのに、「今からアポなしで出演交渉します!」という様子を、そのままテレビでダダ漏れさせているようなムチャクチャな番組でしたもんね(笑)。
土屋:
やっぱり、今のテレビ番組が面白くなくなってきた理由の一つとして、データにとらわれ過ぎ、というのはあると思いますよ。特に、毎分視聴率の影響は大きい。ここ数年で、1分ごとに、どの番組が、どの層に何パーセント観られているか、というデータが即座に出るようになったんです。