【座談会】
・小杉幸一さん(onehappy/クリエイティブディレクター/アートディレクター) *BC部門審査委員
・浅田大輔さん(Wieden+Kennedy Tokyo/デザイナー)
・長谷川踏太さん(Wieden+Kennedy Tokyo/エクゼクティブ クリエイティブ ディレクター)
中でも、昨年新設され盛り上がりを見せたのが、「ブランデッド・コミュニケーション部門(以下、BC部門)」。同部門の審査委員が、メダルの色に関わらず「これが好き」という基準で選んだ昨年の“This one”作品のクリエイターと本音トーク! その作品、どうやって生まれたのよ? そしてぶっちゃけ、この部門どんな感じよ?
ファッションだから。ラフォーレだから。
小杉:昨年菅野さんに誘っていただいて審査委員に参加したんですけど、実はACCに関わるの初めてなんです。それまでデザインというカテゴリーがなかったし、CMが強いというイメージで。菅野さんは、広告という視点でデザインというフィルターを通した時に、まだまだ褒められるものがあるんじゃないかと。
その時に、4つのカテゴリーをそれぞれの専門家だけで見るのではなくて、複合的に「PRの人もこのデザインをどう見るか」と広告の本質について議論できるようにされていました。
ラフォーレの広告の歴史には、やはりどこか大貫卓也さんがつくられてきたイメージがありますよね。僕の先輩である長嶋りかこさんも長い間ラフォーレをやっていて。佐野研二郎さんや古平正義さん、植原亮輔さん、えぐちりかさんなど多くの有名なアートディレクターが常に担当しているイメージです。そんな一人一人が、ラフォーレをすごいレベルの高さで時代に合わせて翻訳しているんですよね。
そして、このお仕事を見せてもらった時に、今しかできない絶妙な“時代性”と“自分ごと感”をものすごく感じました。ラフォーレのポスターだからというよりは、今の時代だからこそのシズル感をうまく手段化している。まさにねらいだと思うんですけど、説明的に感じさせないギリギリのラインでつくる、見せ方も巧みです。
さらにメディアを横断した、映像からポスター、グッズ、店頭など。一番グッときたのは、誤字でツイートするものでした。僕が“This one”でこのラフォーレの作品を選んだのは、今のメディアをフル活用して、バザーという前のめり感をラフォーレらしく、さらにメディア特性で翻訳して、丁寧に定着されているのが素晴らしいなと。
長谷川:ありがとうございます。
「LAFORET HARAJUKU GRAND BAZAR 2017 SUMMER」
小杉:審査会で議論に上がったんですけど、なんで一昔前のWindows的な?
長谷川:今のOSではないんですよね。個人的な感覚としては、iOSでクラッシュするとかあんまり見ない。Windows98とか、あそこらへんの世代によくクラッシュしていたなあと。壊れた感が一番合うOSってなんだろうと。iOSも試したよね。
いろんな時代のブラウザを試して、一番これがいいと。あとは平面的にした時に、ポップになるということがありました。
浅田:若い人に向けたキャンペーンなので、最初はソーシャル系のインターフェースのほうが伝わるかなと思ったんですけど、話しているうちに古いもののほうに。
長谷川:ちょっと懐かしいんだよね。やっていることは今っぽいけど、実は20歳くらいの人が見て「前にこういうの見たことがあるなあ」と思う感じにしました。
浅田:結果論かもしれないけど、当時のファッションも高いものと安いものを組み合わせたり、古いものと新しいものを組み合わせることが流行っていたんですよ。そういう文化にもつながっているかなという気がしました。
長谷川:これはiOSで、これはLINEで、いろいろそう。
小杉:そこがすごくいい。昔のブラウザでやる意思にファッション性を感じていました。
長谷川:そうですね。
小杉:昔のレコードやカセットも流行っていますよね。時代性がシャッフルしている今の世の中に、一昔前のこのインターフェースがかっこいいんだぜ!という作り手の率直な意思があるなと思って。ただ「今の時代だからこう」という理屈的な組み合わせなのではなくて、「こっちのほうがかっこいいじゃん!」というファッション的思考がかっこいい。ここにもファッションビルとしてのシズル感があります。
長谷川:とくにラフォーレとかはそういう感覚でやらないと、お客さんが見てもピンと来なくなってしまう。そんなに素晴らしいものをつくっても、ふと見て終わりではダメだなあと。
「「広告」から「クリエイティビティ」へ【ACCプレミアムトーク】」バックナンバー
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