消費者の嗜好性の多様化はもとより、デジタルチャネルの浸透はいつでも、どこでも好きな時に 消費者が行動を起こせる環境をつくっている。その行動も画一的には捉えられない時代、マス・マーケティングからワントゥワンマーケティングへの転換が求められている。その実現をテクノロジーの力でサポートしてきたマルケトのフィル・フェルナンデス CEO にデジタル活用で変わる、企業と消費者のこれからの関係について話を聞いた。
デジタルチャネルの拡大が お客さまとの関係を変えた
――マルケトでは「エンゲージメント・マーケティング」という概念を提唱しているが、これはどのような考え なのか。
来日した、マルケトのフィル・フェルナンデスCEO
私たちマルケトは情報過多の時代環境、また成熟した市場環境の中で、マス広告ではなく、エンゲージメント・マーケティングが必要とされていると提唱してきた。エンゲージメントとは顧客が特定のコンテンツや商品・サービスに対して好感を抱いたり、また周囲に推奨するなどの働きかけをしてくれる関係性のことを指す。
エンゲージメント・マーケティングにおいて重要なのが、一人ひとりのお客さまに適したコミュニケーションを行うことだ。これまで何十年もの間、マーケターは一人ひとりのお客さまに適した1対1でのコミュニケーションを実現することを夢に描いてきたと思う。
ワントゥワンのコミュニケーションの方がマス・マーケティングよりも効果が高いことは自明の理であるからだが、しかしながら企業の規模は拡大し、相対するお客さまの数も増え続ける中で日本でも米国でもマス・マーケティングが主流となってきた。
ところが消費者の日常にデジタルが浸透し、ソーシャルやモバイルを使うようになったことで、この環境は一変した。これらのメディアやツールを使うことで、お客さま一人ひとりとパーソナルな関係を構築できる土壌が整いつつあるのだ。