複雑化していく広告代理店ビジネス
私はかつて広告代理店の営業担当でした。そのため、いま広告主側にいて「広告代理店とのパートナーシップ」について考えると、複雑な思いを抱きます。
広告代理店と広告主の関係には、さまざまな歴史的経緯があります。現在、世界的なネットワークを誇るメガエージェンシーは、「代理人」というその名の通り、広告主企業のグローバル展開と一緒にオフィスを増やしていくほど、ビジネスネスパートナーとして密接な付き合いをしていました。
ビジネスコンサルティングやマーケティングリサーチといった専門性の高い機能も、かつては広告代理店にとって重要な業務領域でした。それが次第に、クリエイティブやメディア、ダイレクト、プロモーションといったマーケティングコミュニケーション領域に集約され、高度に専門的になるにつれて、二極化していきます。
その一つは、業界の変化に合わせて柔軟に専門的な機能に特化していく小規模から中規模のショップが多く生まれていくこと。もう一つは、そのようなエキスパートであるショップの集合体として、少数の大規模資本が生まれ、コングロマリット化していくことです。広告代理店ビジネスは競争的に複雑になっていきますが、それはマーケティング領域の拡大やテクノロジーの進化、メディア業界の推移、そして広告主のビジネスの変化に伴った必然的な流れと言えるでしょう。
