嶋浩一郎さんに聞く「PRパーソンがパブリシティだけをする時代は終わりました」

9つの事例をもとにPRパーソンの奮闘ぶりを描いた新刊書籍『広報の仕掛け人たち—PRのプロフェッショナルはどう動いたか』(日本パブリックリレーションズ協会編、宣伝会議刊)が、3月8日に発売されます。「若手PRパーソンの中からもっとスターが出てほしい」と話すクリエイティブディレクター・編集者の嶋浩一郎さん(博報堂ケトル代表取締役社長)に、本書を読んで感じたことやPRの仕事の醍醐味について聞きました。

博報堂ケトル 代表取締役社長 嶋浩一郎氏

何をやってもいいからこそアイデアが大事

記事や番組での露出を獲得するパブリシティや、プレスリリースの送信がPR(パブリックリレーションズ)の仕事と思われがちですが、PRの仕事は同性婚を認めたり、男性の育児参加を促したり、「新しい世の中の合意」を形成すること。そして、大事なことは、この目的を達成するために国際会議を開催してもいいし、学会をつくってもいいし、出版活動をしてもいいし、映画をつくってもいい。つまり、何をやってもいいわけです。

逆に言えば、高度なアイデアが要求されるクリエイティブな仕事です。もちろん、影響力の高いメディアを巻き込んでいくパブリシティはPRパーソンにとって重要なスキルですが、合意形成を目指すための一つの手段に過ぎません。

この書籍に出てくる「国立精神・神経医療研究センター」のケース(8章)では、精神・神経医療のオーソリティーとして、取材の際に役立つ専門知識をメディア向けにレクチャーしています。また、災害の被災地や事故現場などを目の当たりにして精神的苦痛を抱えた記者向けに応急処置の仕方について研修を行うなど、より良い取材のための支援までを手がけている。いわば、病院が「メディア向けの学校」をつくったようなものです。その手があったかというやり方ですよね。

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