2016年にアジア初として東京で開催される「Advertising Week Asia 2016」を記念して、広告業界のタブーに挑戦する特別コラムを実施。同イベントのアドバイザーにAdverTimes編集部からの質問に答えてもらいました。第2回は、D2C 代表取締役社長 宝珠山卓志氏に「広告の自動化で『ネット広告営業』は無くなる?今後も残り続ける価値とは?」と聞きました。
■質問
「広告の自動化で無くなる?『ネット広告営業』の今後も残り続ける価値は?」
■回答者
D2C 代表取締役社長 宝珠山卓志氏
D2C 代表取締役社長 宝珠山卓志氏
1972年生まれ。東京出身。1995年4月、早稲田大学 社会科学部卒業後、電通に入社。マーケティング局に配属後営業局に異動。2000年6月、NTTドコモと電通、NTTアドの共同出資によるディーツー コミュニケーションズ(現D2C)設立と同時に出向し、営業部長、営業統括部長、取締役COOを歴任し、2010年から現職。インターネット広告推進協議会(JIAA)理事、ad:techボードメンバー、世界経済フォーラム(WEF)のグルーバル・グロス・カンパニーズメンバー。
デジタルと非デジタルの違いは無限か有限か
旧4マス媒体が中心だった時代を知らない人がいるほど、広告業界にデジタル人材が増えてきました。デジタルだけでマーケティングが完結していたりもして、時代は大きく変化したと感じます。デジタルと非デジタルの事業モデルで「決定的な違いは何か?」と考えたとき、僕には一つの答えがあります。
それは、「有限か?無限か?」ということです。
旧4マス媒体は、参入障壁が高いうえ、コンテンツは有限で、広告を掲載するスペースも同様に有限でした。GDPに多分に連動する広告費は、「予算の増加=市場の拡大」と「広告枠の有限性」によって上昇。「有限コンテンツの有限広告枠というモデル」では、広告枠の価値が向上する可能性が高いという、需給の論理で考えれば当然のことが起こったのです。
一方、デジタルの広告枠はどうかと言うと、「無限コンテンツの無限広告枠というモデル」です。誰でも彼でも何でもメディアを名乗り、広告枠を設定することができるため無限に増殖します。極論を言えば、本来あったはずの広告を「掲載」する価値は限りなくゼロになり、インストールやクリックという掲載以降の「成果」に価値が付くことになっていかざるを得ないのです。