コラム

i(アイ)トレンド

【動画コンテンツ配信サービスのゆくえ】(1)テレビ番組はどこで配信すべきか?

share

【前回】「SENSORS IGINITION 2016から見えてきた、デジタルとリアルの融合がもたらす価値」はこちら

日本マーケティング協会の主催で、テレビとインターネットの融合をテーマにしたイベント“Media Borderプロジェクト セミナー2016:拡張するテレビ、動画化するネット「見えてきたテレビとネット・融合の実際」”が3月25日に開かれた。登壇者はメディアコンサルタントの境治氏、ビデオリサーチインタラクティブ営業企画部マネージャーの深田航志氏、日本テレビ放送網インターネット事業局インターネット事業部次長の太田正仁氏、テレビ東京コミュニケーションズ取締役の蜷川新治郎氏、フジテレビジョンコンテンツ事業局副部長の野村和生氏と、主にテレビ業界側を代表するメンバーが揃った。

境氏は“2016年テレビとネット7つのポイント”として、1. SVODは第二幕を迎え再編も起こる 2. テレビ番組のネット配信はさらに進む 3. 視聴計測がホットな話題になる 4. 同時再送信もさらに進む 5. 動画広告がやっと本格的に盛り上がる 6. ライブ配信が急速に盛んになる 7. ソーシャルテレビが再び活性化する、という点を挙げた。その中からいくつかピックアップをしたい。

SVOD戦国時代、第二幕へ

境氏が2016年トレンドの筆頭に挙げた、“SVOD(Subscription Video On Demand: 定額制ビデオオンデマンド配信)”に関しては、2015年9月にNetflixが上陸したのを契機に日本でも市場が活性化している。各事業者が拡大の基礎となる会員や営業組織を有していることが特徴だという。それぞれの運営母体が持つ、テレビ視聴者、販売網、会員がベースとなっている点は大きなアドバンテージとなっているようだ。

世界の巨艦であるNetflix (2015年度の収入が68億ドル、会員が約7500万人)はフジテレビの人気番組「テラスハウス」を獲得し、5月には芥川賞作品の「火花」の放送を始めるといった話題性はあるものの、日本での展開は基盤が無いこともあり、コンテンツの嗜好とも相まってまだまだこれからと言ったところだろう。一方でdTVは国内初のSVOD会員数500万人突破と発表している。セミナーの中で境氏が注目していたのはTSUTSYA TVとU-NEXTの次の動きだという。今後、業界全体の再編も起こってくるのではないかということであった。

テレビの配信、サイマル放送も活性化か?

セミナーは現状のテレビにおける話題も多く、民放公式テレビポータルTVerや海外では浸透してきているサイマル放送(同時並行放送のこと。ひとつの放送局が同じ時間帯に同じ番組を、異なるチャンネル〔周波数〕、放送方式、放送媒体で放送すること)などにも話題が及んだ。境氏はそれらが進むことを予言し、息をひそめていたソーシャルテレビなども復活するだろうと話した。これは、テレビが今までは場を提供してユーザーが来るのを待っていたのに対して、テレビがユーザーを追いかけ始めたということで、ソーシャルメディアなどがその場として機能し始めているという。

また、テレビ視聴の計測に関してもこれからは「リアルタイム視聴」「タイムシフト視聴」「無料キャッチアップ」「IP同時再送信(サイマル)」が必要になってくるだろう。ただし、現在特に有効なサイマル計測方法が確立されていないなどの問題もあるので、まだまだ実現にはいくつもの課題をクリアする必要があるのだが。このほか、大手企業では動画の尺やフォーマット、配信媒体などを駆使してパーチェスファネル全体に影響を及ぼすような考え方も生まれてきており、動画広告の活用も進むだろうと話していた。

次ページ 「テレビはどこで放送すると「三方よし」になるのか?」へ続く

Follow Us