広告業界から足を洗ったら、何か見えましたか?藤田明久氏(元cci取締役・前D2C社長)に聞く

2016年にアジア初として東京で開催される「Advertising Week Asia 2016」を記念して、広告業界のタブーに挑戦する特別コラムを実施。同イベントのアドバイザーにAdverTimes編集部からの質問に答えてもらいました。第8回は、元cci取締役、前D2C社長の藤田明久氏に「広告業界から足を洗ったら、何か見えましたか?」と聞きました。

藤田明久氏(元cci取締役・前D2C社長)
1991年電通入社。1996年CCI創立時より出向、2000年D2C創立時より出向と、PCネット広告とモバイル広告の黎明期より最前線の司令塔として身を置く。2010年電通デジタルホールディングス、2012年同シンガポール駐在を経て、2014年ぐるなびに転じ、日本の食文化を守り育てるため奔走中。2007~2010年JIAA副会長、2010年Web広告研「Web人貢献賞」受賞。著書「ゼロから新市場を生み出す方程式」(幻冬舎経営者新書)等。

■質問
広告業界から足を洗ったら、何か見えましたか?

■回答者
藤田明久氏(元CCI取締役、前D2C社長)

広告界を離れて見えたものは、魅力的で頼れる達人の存在だった。そんな3種類の達人を事業会社の目線で紹介する。

一人目は営業の達人だ。

今の時代、個人や家庭の課題を解決するための消費はすでに行き渡り、生活者は社会の構成員という自覚のもとで行動している。そして事業会社は、生活者による自社の商品・サービスの消費を通じて、社会の課題を解決することを目指している。そんなCSV(Creating Shared Value)時代に事業会社が欲しい提案とは、その企業が取り組む社会的課題の解決に寄与するものだ。だから「ライバル企業が提供して好評ですよ、御社は取り組まなくてもよいのですか」「この技術で生活者とのエンゲージメントをライバル企業よりも高めましょう」という提案はひびかない。

とりわけ広告会社やコンサルティング会社がドヤ顔でユーザ至上主義を振りかざしてくると困ってしまう。示された事実やアイデアの多くは既に社内で議論済みであり、競業企業と全く別のアプローチで取り組んでいるか、取り組むべき社会的課題として優先順位が低いと判断済みだからだ。つまり、そのアプローチでは何もしていないと社外から見られても現時点では構わないのである。

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