デジタル化の波は、テクノロジー中心主義を終焉させ、顧客の時代を到来させる

セールスフォース・ドットコムは10日から12日にかけて、米国・アトランタでイベント「connections 2016」を開催している。初日に行われたセールスフォース・マーケティング・クラウド社CEOのスコット・マッコークル氏によって行われた基調講演をレポートする。

Opening Keynote(基調講演)の様子。150以上のセッションが開催され、40カ国、100万人がオンライン視聴するなどリアルとデジタル両面で、盛況だ。

カスタマーの時代が到来

スコット・マッコークルCEOによる、オープニング・キーノート(基調講演)では、終始一貫して、カスタマー(顧客)の時代が到来したことを告げていた。それは、ITによって様々なマーケティングやセールス、サービス活動がデジタル化され、一見してテクノロジーが優位に立つかと錯覚するのではなく、あくまでも顧客のためのテクノロジーであることを宣言している。

セールスフォース・マーケティング・クラウド社CEO、スコット・マッコークル氏

こうした宣言の背景は、日常を振り返れば、容易に理解できる。不要な大量のメール、広告の垂れ流し、SNS上での節操のない宣伝活動、興味が無くなったのに何度も表示されるバナー広告などに、顧客はおろか、一生活者としても辟易としていることだろう。一方で、日本では、古くから「お客様第一」を是とする考え方が浸透してきたが、デジタル化の今日、それを時代に合った方法で、精度よく効率的に実施するための、プラットフォームとツールが必要となっているとも言える。

デジタル化が進展した現代では、適切なタイミング、場所、デバイス、表現等で、顧客が必要としているもの、満足を高めるものを提案、接触していくことが極めて肝要だ。しかしながら、リアルの世界で、親しく近しい人間関係であればそのようなことは十分に配慮されているだろうが、ことデジタルの世界では、無配慮状態であることが多数を占めている。顧客を創出し、育成するどころか、かえって顧客を遠ざけてしまっているという事態も発生していることに気づき、行動すべき時が来たということだろう。

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