7つの戦略論をコンパクト解説 その3「エンゲージメント論」「クチコミ論」

【前回コラム】「7つの戦略論をコンパクト解説 その1「ポジショニング論」「ブランド論」「アカウントプランニング論」」はこちら

本記事は、4月に発売された『手書きの戦略論 「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略』(宣伝会議刊)の著者で、戦略プランナーの磯部光毅氏による短期コラムです。併存する様々なコミュニケーション戦略・手法を7つに整理し体系化した本書籍の内容を紹介すると同時に、それを仕事に生かす方法を解説します。

これまで紹介してきた「違い」を重視するポジショニング論、「らしさ」を重視するブランド論、「深層心理」を重視するアカウントプランニング論。これらはすべて、商品や企業の「メッセージ」をお客さんに「伝える」アプローチであるという点では、実は共通していますよね?

しかし、商品の差別性がつくりづらくなり、関心も下がっている。日々触れる情報量が加速度的に増え、疑いの目をもって広告を見る人が増えてしまった。お客さんが勝手に情報を調べてくれるなんていうのは、関心度・関与度の高いほんの一部の商品だけ…という環境の中では、そのアプローチそのものに限界があるんじゃないか、という問題意識が生まれてきました。

そこで最近注目を集めているのが、7つの戦略論の最後の2つ「エンゲージメント論」と「クチコミ論」です。一方的に何かを伝えるのでなく、お客さん側からの行動を引き出すアプローチ。まだ理論も手法も確立しきってはいないものの、新しいチャレンジが次々と生まれてきている領域です。

重要なのは「伝える」ではなく「関与してもらう」

6. エンゲージメント論:「関与」が、人を動かす。

お客さんが自ら関わりたくなるような施策を通して、共感しあう関係をつくる戦略。ゆるい関与を狙うもの、深い関与を狙うもの、短期的なキャンペーンセントリック型施策、中長期的なオールウェイズオン型施策などいろんなアプローチが模索されている。

広告(アド)が送り手に情報を伝えて、受け手は受動的に見るものだとしたら、エンゲージメントは、受け手の関与を引き出すために、なんらかの働きかけをする手法。具体的な関与としては、いいね!、リツイート、広告のクリック、コンテンツの閲覧、イベントへの参加、動画の視聴などがあげられます。

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磯部 光毅
磯部 光毅

アカウントプラナー
1972年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、1997年博報堂入社。ストラテジックプランニング局を経て、制作局(コピーライター)に転属。2007年独立し、磯部光毅事務所設立。主な仕事に、サントリー「JIM BEAM」「ザ・プレミアムモルツ」「伊右衛門」「伊右衛門特茶」、トヨタ自動車「G's」、ダイハツ「タント」、コーセー、KDDI、Google、味の素、AGF、花王、ティファニー、ブリヂストン、三井不動産、カルビーなど。ブランドコミュニケーション戦略を核に、事業戦略、商品開発からエグゼキューション開発まで統合的にプランニングすることを得意とする。受賞歴にニューヨークフェスティバルズAME賞グランプリ、ACC CMフェスティバル ME賞メダリストなど。著書に『ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる』(共著、宣伝会議、2013年)、『アジアマーケティングをここからはじめよう』(共著、PHP出版、2002年)、『ニッポンの境界線』(共著、ワニブックス、2007年)がある。

磯部 光毅

アカウントプラナー
1972年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、1997年博報堂入社。ストラテジックプランニング局を経て、制作局(コピーライター)に転属。2007年独立し、磯部光毅事務所設立。主な仕事に、サントリー「JIM BEAM」「ザ・プレミアムモルツ」「伊右衛門」「伊右衛門特茶」、トヨタ自動車「G's」、ダイハツ「タント」、コーセー、KDDI、Google、味の素、AGF、花王、ティファニー、ブリヂストン、三井不動産、カルビーなど。ブランドコミュニケーション戦略を核に、事業戦略、商品開発からエグゼキューション開発まで統合的にプランニングすることを得意とする。受賞歴にニューヨークフェスティバルズAME賞グランプリ、ACC CMフェスティバル ME賞メダリストなど。著書に『ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる』(共著、宣伝会議、2013年)、『アジアマーケティングをここからはじめよう』(共著、PHP出版、2002年)、『ニッポンの境界線』(共著、ワニブックス、2007年)がある。

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