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コラム

コピーライター養成講座 講師・卒業生が語る ある若手広告人の日常

コピーライター谷山雅計さんの講義で学んだ「ダメなコピー」

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僕のコピーの本当の問題

谷山さんはダメな例の解説に続いて、優秀作の何が優れていたかの解説に移りました。そして優秀作の講評が終わった後、サラッと谷山さんがおっしゃったことに、自分が書いたコピーの問題点が浮き彫りになりました。

「誰も書かないコピーってだけじゃ意味がない」

正確な言い回しは失念してしまいましたが、こういうことをおっしゃっていました。要は人と違うことをするだけじゃ価値を生まない、役に立たないコピーはいらないという意味です。

まさしく自分が書いたコピーが、人と違うことを書こうとするだけの役に立たないコピーでした。今回の課題に取り組む際に、「コピーは描写じゃダメ」「コピーは解決じゃなきゃ」という意味の本懐はよくわかっていないながら、言葉だけは脳内に残っていたので、それを念頭に書きました。

そして、なるべく人と被らない用途でかつ日常的に使うケースを出そうとしたのでした。結果、そんな使い方を提案しても、買う人がいないだろうというコピーを生んでしまいました。需要とかターゲットを全く考えてなかったのです。

恥ずかしいですが1例出します。

「あっちの自販機にしよう、100円で買えるから。」

というコピーを書きました。要は、120円で買おうとしている人を呼び留め、双眼鏡を使うともっと安い自販機があることを見つけられるよ!台詞をコピーにしたのです。冷静に考えてそんな使い方を提案しても、双眼鏡を買う人はいません。でも書いている時は、全く気付きませんでした。愚かだな~。

あと、本論に関係ないのですが、これはお笑いのネタにも言えることかなと考えました。

売れてなくても面白い芸人や世に知られてなくても、オリジナリティあふれるネタは幾つもありますが、それはもしや一部の人の熱狂は巻き起こしても、商売として成り立つような「売れる」商品ではないのかもしれません。もちろん芸事の世界なので、商品価値だけでなく作品価値もありますから、売れるネタだけが素晴らしいワケではありませんけれど。

人間性を見透かされる講座

講座全体を通して言えることは、課題を通して自分の恥ずかしいところを見透かされてしまう内容だということです。谷山さんは、今回の課題にコピーライター志望者が取り組んだら最低限出してほしい解答例を2つ紹介した際に、こんなことを言っていました。

「この2つが出なかった人は、自分と双眼鏡しか考えてないから」

つまり、親目線とか高齢者の目線とか、自分とは違う誰かの目線に慣れていないということです。課題提出数は20本でしたが、僕としては20本を出すのも苦しく、提出日の講座中に何本か書いていたくらいです。数が出ないということは、様々な人の目線になれずに自分だけの視点で書こうとしていたからでしょう。

それは結局、自分こそが新しい使い方提案する!という思い上がりがあったのだろなあと思います。講座からの帰り道、そういう隣にいたら面倒くさい人間ではなく、もっと人の気持ちに寄り添える人間になりたいなあと思いました。

というワケで、本講座はコピーライターを目指す方だけでなく「私はいつも自分のことしか考えられない」と悩む方にもオススメです。どうせ講座に通うのならば、自己啓発セミナーよりもコピーライター養成講座にしましょう!大体同じような受講料でしょうし。

次回はボディコピー(商品を詳しく説明する、やや長めのコピー)の講座をレポートします!

今野和人(お笑い芸人/第53回宣伝会議賞グランプリ)

1984年12月7日生まれ。国際基督教大学教養学部人文科学科卒業。プロダクション人力舎の養成所「スクールJCA」で雨宮龍也・井村俊哉とともに、お笑いトリオ「ザ・フライ」を結成。キングオブコント2011準決勝進出。第53回宣伝会議賞グランプリ受賞。https://twitter.com/thefly_konno

 


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