コラム

コピーライター養成講座 講師・卒業生が語る ある若手広告人の日常

コピーライター谷山雅計さんの講義で学んだ「ダメなコピー」

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【前回のコラム】「「良いコピー」とは何なのだろうか考えてみました」はこちら

ザ・フライの今野です。この連載は、お笑い芸人である僕が、宣伝会議さんが開講している「コピーライター養成講座」を受講して、そのレポートを書くという内容です。

過剰な熱量

画像提供:shutterstock

今回は、「ガス・パッ・チョ」「YONDA?」「TSUBAKI」「マルちゃん正麺」など、とてつもなく有名な広告を数多く手がけた谷山雅計さんの講座について書きます。

前回のコラムで触れた通り、僕は谷山さんの著作を読んだことがあります。読後の印象から、実物の谷山さんは明快に論旨を述べる冷静沈着な方だと想像していました。その想像は良い意味で裏切られました。語った内容は徹底的に論理的なのですが、その語り口は伝えたい熱量で溢れ、時折その情熱が唾となって前の席の方に降り落ちているようでした。

そして、情熱が規定の講座時間(2時間)を30分以上、上回りました。ですが、今までの講座で、一番身を乗り出して聞くことができました(僕は大体1時間講座を受けると、休憩が欲しいなと思うのですが)。それは感情も論理も、どちらも十全と発揮した語り方だったからだと思います。

どちらかだけだと、人は生きた人間と対話している気持ちになれないと思うのです。対して僕は感情を失いがちな人間なので、谷山さんのしつこい情熱を見習いたいなあと思いました。

それでは、具体的に講座の内容について紹介します。毎回、講座が始まる前に、その日の出席の捺印をして、資料とアンケート用紙をもらってから教室に入るのですが、今回はそれに加えて、提出した課題用紙も採点されて返ってきました。

課題は「双眼鏡をもっと売るためのキャッチフレーズを20本書く」というものでした。ドキドキしながら席につき、採点された用紙を見ました。

10点満点中…、6点でした。谷山さん曰く0~4点は心情的につけにくいので、5点が最低点だそうです。

「うわ、低!」と思いました。そしてやばい(本来の意味で)と思いました。宣伝会議賞のグランプリを獲ったのに6点では恥ずかしいし、「やっぱり、まぐれだったんじゃねーかと(そうですけど)バカにされる!」と思いました。

まあ、この場に書かなきゃバレないワケですが、せっかく今回は書く機会をもらっているので課題の評価はこれからも公表します。読者の方は、「実力はないけど誠実な人なんだな~」と好意的に捉えてほしいです。

コピーの採点が6点だった理由

谷山さんは優秀作の講評の前に、ダメな例を3点紹介されました。それが何かというと…言わないでおきます!

過去、誰かが谷山さんの講義内容をアップし過ぎたせいで、ダメな例を踏まえずに優秀作そっくりのコピーを書いてきたというネット社会の悪しき申し子が相次いだらしいのです。そういうわけで、ダメな例の紹介は伏せます。

ここでは、どういうコピーがダメなのかという方向性だけ紹介しておきます。ダメなのは商品を描写したものです。商品の特性を美しく言い表したものや既存の使い道を喩えなどで言い換えたものは、人を動かさないコピーだと谷山さんは仰いました。

課題は「双眼鏡」でしたが、現在はあまり広く流通していない商品だからこそ、無関係だと思っている人と商品をつなげる知恵が必要なのだそうです。そして、良い例として、紹介されていたのが「解決」方向のコピーです。

双眼鏡と言えば、バードウォッチングや観劇などと用途を限定して考えず、新たな用途や今までとは違うターゲット層を念頭におきコピーを書くと、人を動かすコピーになりえると紹介していました。

自分の書いたコピーを見直すと、何例か見事にダメな例に当てはまりました。

さて、ここまで紹介して訝しんだ方もいるかもしれません。「貴様、前回のコラムで谷山さんの著作に触れて『描写はダメ』だと分かっている的な内容を書いてなかったか?」と。
はい、書いていました。でも、実際全然分かってなかったようです。

本って一回読むと分かった気になるから恐ろしいですよね!ちなみに僕は数年前に初めて宣伝会議賞に挑戦した時、谷山さんの『広告コピーってこう書くんだ読本!』を図書館で借りて読み、昨年挑戦した時も図書館で借りて読んでしまいました。

コピーライター志望者の方は、ぜひ買って読み実践を重ねられることをオススメします。

次ページ 「僕のコピーの本当の問題」へ続く

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