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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

『バケモノの子』をつくるときに考えていた“心の親”について(ゲスト:細田守さん)【前編】

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細田監督と澤本さんとはいつも焼き鳥屋で何を話しているのか

細田:どうもこんばんは。細田守と申します。澤本さんとはいつも焼き鳥屋さんでご一緒しているのに、こんなヘッドフォンを通してお話するなんて。

澤本:お酒を飲まないでしゃべるのが何年かぶりという状況です(笑)。

中村:すごいですね。『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』などでメガヒットに次ぐメガヒットの細田守監督でございますが、毎回ゲストの方にお願いしている20秒自己紹介をお願いできればと思います。「すぐおわ」は広告の番組ということで、ラジオCMの尺20秒に合わせて自己紹介をやってくださいという無茶振りをしています。

細田: 20秒を埋められるんだろうかという。紹介すべきことがそんなにあるんだろうかと。

澤本:いえ、いっぱいありますよ。

中村:最近ハマっている趣味でも何でも構いませんので、準備はよろしいでしょうか? ではどうぞ!

細田:アニメーション映画監督の細田守と申します。みなさん、ひょっとしたら見たことあるかもしれませんが、『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』、そして『バケモノの子』という映画をつくっております。みなさん・・・(ゴングの音)、メッセージがちょっとこぼれてしまいました。機会があったらぜひ見てください。

中村:細田さんは澤本さんのご紹介というか、リクエストでお越しいただいたんですが、昔、雑誌『SWITCH』の特集で澤本さんが「なぜあのシーンで感動してしまうのか」というタイトルで細田作品の名場面について寄稿していましたね。どんなシーンを紹介したんですか?

澤本:いろいろしゃべったけど、お葬式のことなどを書いてましたね。基本的に、細田作品は全部好きなんですが、とにかく僕は『時をかける少女』のアニメにやられた人間なので。夏だったと思うんですけど、新宿をウロウロしていたら、テアトル新宿の地下に入っていくところに『時をかける少女』のポスターがあって、ちょっと入ってみようかなと思って。そのポスターがかわいい女の子が跳ねているような。

中村:そうですね。ピョーンと横向いて。

澤本:最初は「俺はこれ見に行って大丈夫なのかな・・・」と思ったけど。

中村:そっち側の(笑)。

澤本:でも、嫌いじゃないので入ったんですよ。基本的に『時をかける少女』は大林版の原田知世主人公のものが好きでしょうがなかったから、この世界に入ったみたいなものなので、「そういうものをリメイクするなよ」という気持ちでいっぱいだったんです。

細田:わかります。

澤本:なぜリメイクするんだと。リメイクして元の印象を汚すぐらいだったらやらないでくれと。どちらかというと探偵的な気持ちで、チェックしなきゃと。

中村:かなりの上から目線で、ただじゃおかないからなと。

澤本:と思って見たら泣いちゃって(笑)。素晴らしい。元のよりいいんじゃないかというより良くて。だから、僕は見終わった後にそのときの高校の仲間に「これはすごくいいから見たほうがいい」って、みんなにメールしたんですよ。

細田:恐縮です。そもそも澤本さんと一緒にお酒を飲ませていただくきっかけも、原田さんの『時かけ』を見ていて、「原田さんは昔、僕らにとって特別な存在でしたよね」みたいなところからね。

中村:そんな意気投合の仕方で。原田知世的意気投合。

澤本:そうだね。原田知世と斉藤由貴っていう。

細田:80年代にどういう風に10代を過ごして、そのなかで彼女たちがいかに我々のつまらない日常を彩ってくれたかみたいな。

澤本:近くで聞いている人は気持ち悪かったと思うけど(笑)。斉藤由貴の映画『雪の断章』が素晴らしいという話をずっとしていて。まわりの人は何もわからなかったと思うけど。

細田:そういうDVD化もされないような映画の話を延々するというね。

澤本:毎回お酒に行くと、その話ばかりですね。

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