体験の方が「広告」の9倍の価値をもつことも
このことで、従来の印刷物やダイレクトメールなどの手法から、「経験価値マーケティング」や「サンプリング」のような経験や体験を重視したマーケティング手法に、重心を移している企業が増えているとのことです。
実際に自分のことを振り返ってみても、本を読んだり授業で聞くだけでなく、自分で書いてみたり、他の人に教えたりする方がより覚えることができるというのは受験勉強でもよく言われていましたし、理科の実験や体育の授業のように体験したことの方が強烈な記憶として残っているというのは実感がわくと思います。
このプレゼンを実施したロペス氏が立ち上げたキッザニアこそが、子供を対象にした経験価値マーケティングを企業に提供している会社になります。実際にキッザニアを来訪した子供はもちろん、同伴した親においてもブランドの認知度が明らかに向上したというデータが出ているそうです。
文章や体験の中身によって、この記憶に残る確率は大きく変わるでしょうから単純比較はできませんが、乱暴に比較すると単純にメルマガを送って読んでもらったり、文字のバナー広告で宣伝をしたりする行為よりも、体験した経験というのは9倍の価値があるということが言えるかもしれないわけです。
特に、メルマガ広告やバナー広告の場合、送信数や表示数がそのまま必ずしも顧客の目に留まるわけではありません。メルマガの開封率やバナーの視認率が低いケースが多いことを考えると、100万人に表示したバナー広告よりも2000人のイベント参加者の方が結果的に大勢の人の記憶に残るということも、十分ありえます。つまり、表示された数や届いた数のみを「リーチ」として比較するのではなく、記憶に残った人数を類推して比較するのが、イベントのような施策の一つの手法として考えられるわけです。
昔はテキスト中心だったインターネットが、InstagramやLINEのスタンプ、そして最近のライブ動画のように写真や動画中心になってきたのはある意味当然と言えるでしょう。さらに、VR(バーチャルリアリティ)のように移動しなくても仮想的に体験させる手段の重要性もあらためて考えさせられる話だと思います。
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