『100万社のマーケティング』は、「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。第9号(2016年11月28日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。


内山妙子 Taeko Uchiyama
カンロ 開発本部 マーケティング部長
武蔵野美術大学短期大学部グラフィックデザイン科卒業後、カンロ入社。デザイナーを経てマーケティング業務に従事。2012年カンロ百周年事業として直営店「ヒトツブカンロ」の立ち上げに参加。
関本明子 Akiko Sekimoto
ドラフト
東京藝術大学大学院デザイン科卒業。同大学院修士課程修了後、グラフィックデザインを起点にCI・パッケージ・商品開発・広告制作など、ブランド全体のディレクションを行う。「ヒトツブカンロ」の他、染め物ブランド「印染杉下」、荷札印刷会社「荷札のいわゐ」、ワコール、三菱一号館美術館、竹尾など。ADC 賞、JAGDA新人賞、日本パッケージデザイン大賞・大賞、reddot awardなど受賞。
――「ヒトツブカンロ」についてお聞かせください。内山
カンロは2012年に創業100周年を迎えました。周年事業の一つとして、同年6月に東京駅地下の商業施設「GranSta(グランスタ)」にオープンしたのが、コンフィズリー(砂糖菓子)ショップの「ヒトツブカンロ」です。なにしろ直営店を出店するのは初めてのことでしたから、店舗デザインを誰にお願いしていいものか検討がつきませんでした。そこで、デザインに課題を持つ企業を通して、関本さんに引き合わせていただきました。
関本
当初は、「初めて直営店をつくることになり、そこで扱う一部の商品のパッケージデザインをお願いしたい」というご相談をいただきましたね。しかし、パッケージデザインは、ブランドを構成する要素のほんの一部に過ぎません。そこで、店頭で取り扱う商品のイメージや直営店運営の狙いなど、カンロさんの思い・考えを伺い、それを自分なりに整理して、コンセプトからネーミング、ロゴデザイン、パッケージデザイン、店舗デザインまでをトータルに提案させていただきました。お話を伺う中で驚いたのは、当初予定されていたショップ名に「カンロ」という名前が入っていなかったことです。
内山
カンロは、「カンロ飴」のイメージが非常に強く、100年続く老舗企業としての伝統や、商品の美味しさに対するお客さまからの信頼は確かに価値あるブランド資産と言えます。しかし、せっかく新しい挑戦をするのだから、これまでのイメージとはガラッと変えたい気持ちもありました。
