電通の山本敏博社長は14日、都内で開かれた決算会見で、最重要課題に挙げる労働環境の改革について「役員一同、社員と一緒になって2年で成し遂げる」と改めて強調した。改革案の骨子と具体策を4月までにまとめる。施策の助言や進捗監督、効果検証を行うため、外部有識者による「独立監督委員会」の設置のほか、元労働事務次官の松原亘子氏を社外取締役に迎える人事も発表した。
労働環境改善の取り組みで販管費がかさみ、国内事業は2017年1~12月期は減収減益を見込む。具体的には、人材の新規採用や機械化による業務体制拡充、デジタル領域の人材育成とグループ内強化施策、顧客向けのマーケティングツール開発投資に充てる。これらに60~70億円を投じる。「仕事量を無理に追いかけない」(山本社長)として売上高も減る見通し。一方、海外事業が好調に推移し連結純利益は3.7%増の866億円を見込む。
山本社長は、労働環境問題には複数の課題がからみ単純化は難しいとした上で、「最も緊急を要するのは、法令順守と社員一人ひとりの心身の健康」と強調した。さらに、「社員の成長、品質の向上、個人の自己実現、会社の業績の向上につながるサイクルがつくれないと労働環境改革が完成したと言えない」として、具体策を立てすべてを同時に進めていくと述べた。
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