「いいかげんインサイト」から「いいかげんアイデア」の量産はやめよう
そのカギとなるのは、「孤独でさびしい」という感情が生まれる要因を、インサイトとして明らかにすることです。実は、ここで探り当てたインサイトは、「お茶漬けのりをひとりで食べるとき、カサッカサッという音を聞くと孤独でさびしい気持ちがしてくる」でした。
孤独でさびしいという感情を生んでいるのは、顆粒のカサッカサッという音だったのです。従って、アイデアに必要なのはこの音を解消すること。例えば「生タイプのお茶漬けのり」の開発です。
逆に、先に紹介したSNSやお笑いといったアイデアは、感情を生んでいる要因から見ると、的外れであることがわかるでしょう。実際にそのような企画を行っても根源的な問題は解消されません。インサイトが正確であれば、このようなアイデアが産まれてくること自体が起こり得ないはずなのです。
最初に挙げた「孤独でさびしい」という感情だけの記述。すなわち客観的な事実に基づかない単なる感情は、不正確な「いいかげんインサイト」に過ぎません。
顆粒のカサッカサッという音が、孤独でさびしい気持ちにさせる、という「客観的な事実に基づく感情」こそが「正しいインサイト」です。その正しいインサイトを捉えれば、「正しいクリエイティブジャンプ」による「正しいアイデア」、すなわち、ちゃんと機能するアイデアを創りだすことができるのです。
ともすれば、インサイトなんて、所詮クリエイティブジャンプの起点に過ぎず、重要なのはクリエイティブジャンプの方なんだから、と考える方がいます。そのような態度がこのような過ちにつながってしまうのです。
今からすぐにでも、「いいかげんインサイト」から「いいかげんアイデア」を量産するという無益な作業をやめにしませんか。
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ヒットを生み出すには、ニーズからインサイトへ。いまの時代、消費者に聞くことで分かるニーズは充たされ、本人さえ気付いていないインサイトが重要に。人の「無意識」を見える化する、インサイト活用のフレームワークを大公開。
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