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プロジェクトはそもそも計画通りにいかないようにできている!?

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なぜあなたの仕事は思い通りに進まないのか

本書ではまず、プロジェクトは以下の理由で「そもそもうまくいかないようにできている」としています。

  • ・その仕事をやったことがない。
  • ・予め情報を完ぺきに収集できない。
  • ・考慮すべき要素、変数が多すぎる。
  • ・彼我の状況、環境は静的ではなく変化し続ける。

こうした理由を、さらに三つの基本法則の形で整理して提示しています。

プロジェクト工学における三つの基本法則
第一法則「やったことのない仕事の勝利条件は、事前に決められない」
第二法則「プロジェクトにおいては、こうあれかしと考えて立案した施策が、想定を超えた結果をもたらす」
第三法則「プロジェクトの過程における諸施策の結果もたらされる状況は、即座に次の局面における制約条件となり、ときにプロジェクトの勝利条件そのものの変更すらも要求する」

プロジェクト工学では、プロジェクトの最終的な目標のことを「獲得目標」と呼び、その成功判断の基準を「勝利条件」という名前で呼んでいます。獲得目標は、プロジェクトのゴールであるため明快ですが、勝利条件は、事前に明確に定義できないもの、あるいは状況に応じて変わっていくものです。

例えば、webサービスの新規事業開発で、当初の勝利条件を「初年度売上5億円、利益1億円」とするとしましょう。しかしそれは、最初に設定した通りに進むということはまずありません。エンジニアのメンタルがやられてしまい、サービスのローンチが遅れる。あるいは機能をいくつか落としてローンチする。鳴り物入りで採用したセールスマネージャーや営業力に定評のある代理店がぜんぜん売ってくれない。グループ会社が顧客を紹介してくれない。類似サービスが次々と出てきて、差別化の説明に苦労する。なんてことはザラにあります。

このようにして、当初の勝利条件は果たせなくなり、徐々に原因や犯人探しが始まり、プロジェクトは停滞・炎上していくわけですが、肝心なことは、最初に描いたプランに固執せず、その勝利条件を変えることです。そもそも情報は充足しておらず、状況や環境は常に自分に有利なように動く訳ではありません。であれば、プロジェクトを進めてみて、事前の計画と違う事象が発生した時、「本来実現したかったことの内実とはなにか」に立ち返ることで、勝利条件とプランを「更新」し続けることが必要になってきます。

では、どのようにして勝利条件とプランを「更新」すれば良いのか?本書ではそのフレームワークとして、筆者らが提唱する「プロジェクト譜(以下、プ譜)」と、それを用いた戦術立案、遂行方法について解説しています。

本稿では、その概要と例題を用いて、プ譜のメリットを紹介します。

次ページ 「プロジェクトの進行管理ツール「プ譜」」へ続く