ニューヨークを救った主婦!ジェイコブズに学ぶ、「人間中心」のマーケティング

【前回の記事】「スター・ウォーズからカズオ・イシグロまで — 5つの「物語」から学ぶマーケティングのヒント」はこちら

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前回のコラムは、

「スター・ウォーズからカズオ・イシグロまで — 5つの「物語」から学ぶマーケティングのヒント」

でのタイトルのもと、小説をはじめとする「物語」にマーケティングのヒントを求めました。

そして今回、取り上げるのは映画です。映画の物語の中にもまた、マーケターに役立つヒントが多くあります。

例えば私は先日、現在公開中の映画『ジェイン・ジェイコブズーニューヨーク都市計画革命』を観てきました。この映画は、1950年から60年代のアメリカの都市再開発事業における抗争について描いたものです。具体的には公共投資と近代主義的な都市計画を根拠にしたマスタービルダーと言われたロバート・モーゼスと、建築雑誌のジャーナリストであったニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジに住む主婦、ジェイン・ジェイコブズをリーダーとする市民運動との対立抗争を描いています。

ジェイコブズは圧倒的な権力を持ったモーゼスが推進したニューヨークの都市計画を実施寸前のところで、市民を味方にしながら、なんとか食い止めることに成功しただけでなく、当時のアメリカが推進してきた近代主義的な都市計画が破綻したことを証明したのです。

次ページ 「モーゼスのマスタービルダーとしての「美しい」理想都市」へ続く

モーゼスのマスタービルダーとしての「美しい」理想都市

当時のアメリカでは、歴史的に大都市へ流入してきた人たちが古い建築物のある地域に密集して居住し、貧困や不衛生な環境、治安への悪化をもたらすと考えられていました。そこで当初の都市計画では、そのような地区を一掃し、新しい都市計画によって区画を整理し、高速道路によって住宅地域とオフィスを理想的にゾーニングすることが計画されていました。モーゼスらの論理的根拠は、フランスの近代建築家のル・コルビジェの「輝く都市」という田園都市構想で、効率の良い同型の「美しい」高層建築物が並んだ、都市機能を明確に分断化したものでした。

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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