CMがミステリーの謎を解く鍵に 広告とコンテンツが融合した「アドフュージョン」ドラマの仕掛け人対談

6月20日深夜に放送された『名探偵コジン~突然コマーシャルドラマ~』は、ドラマの本編にCMを組み込み、広告でメインコンテンツの魅力を高める新手法「アドフュージョン」を取り入れた。番組冒頭やテロップで、ドラマ内に4商品のCMが入ることを提示し、「CM中」と表示されている間もドラマのストーリーが続き、CM商品は物語の重要な鍵になっていた。

ドラマの仕掛け人の2人に、企画の裏側とテレビCMのこれからについて聞いた。フジテレビ営業局の明松功氏は、『めちゃ2イケてるッ!』の元チーフプロデューサー。電通クリエーティブ・ディレクターの中尾孝年氏は、『その企画、もっと面白くできますよ。』の著者であり、2人は大学時代の運動部の先輩後輩の間柄だ。

『名探偵コジン』ではストーリーテラーの滝藤賢一さんが、「突然コマーシャルドラマ」の楽しみ方を案内。

ドラマ本編のテロップで4商品のCMが入ることを提示

左 フジテレビ 明松功氏、右 電通 中尾孝年氏

広告が番組を面白くする要素として機能する

—今回の企画は、どのように始まったのでしょうか。明松:

僕はバラエティの制作から営業に異動し、「営業発の番組を作ろう」と、企画書をたくさん書きました。自分では面白いと思っていたんですが、1年経っても実現したものはゼロ。なぜ企画が得意先に響かないのか、中尾に教えてもらおうと相談しました。その反応で、これは箸にも棒にもかかってないなんだな、と感じてちょっとヘコんだ記憶があります(笑)

中尾:

いや、番組としては面白かったんです。ただ「この番組を一緒に作りませんか」と広告を提案するときの視点がなくて。広告会社にいる僕からすると、スポンサーのことを気にせずに、物作りのピュアな思いで企画が書かれているのが新鮮で、ちょっとうらやましかった。

明松:

その時に、中尾から「番組と広告が融合するようなことができないか」という話が出てきました。

中尾:

スポンサーの都合でどんどんドラマのストーリーが変わっていくという企画です。それを聞いた明松さんも「俺も同じようなことを考えていた」となったんです。

明松:

僕が考えていたのは、スポンサーのことを気にしすぎて、話が面白く無くなっていくもの。面白がるポイントは「忖度」で、良かれと思ってスポンサーの意向を取り入れると物語がつまらなくなっていく。最後に「これからは作りたいものを作っていきます」というテロップを出してオチをつける、毒気のあるものを想定していました。でも、それだとスポンサーはハッピーにならない。そこを処理しきれず構想で止まっていたところにこの話が出て、一緒に何かできそうだと思いました。

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