【前回コラム】「京都で起こす肩書き革命。ソーシャルデザインの第一人者は、今何を考える?」はこちら
関西でかたちラボという屋号でコピーライターをしている田中です。2012年、「ある本」の日本語訳が出版されました。それは、クリス・アンダーソン著『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』(NHK出版)。その内容は、コンピュータと接続された3Dプリンタやレーザーカッターを使うメイカーたちにより新たな産業が生まれるというもの。
出版されて6年。この間、モノづくりのためのプラットフォーム「DMM.make」をはじめ、日本全国で展開している「FabLab Japan」、関西でもロフトワークが運営する「MTRL KYOTO(マテリアル京都)」など、ものづくりスペースが増えてきました。しかし、まだまだ日本では一般化されていないメイカーズ文化。今回は、京都を拠点にメイカーズ文化を広げているベンチャー企業の話です。
YOKOITO 中島佑太郎さんの場合
「関西で戦う。クリエイターの流儀」第11回目に登場していただく中島さんは、「モノの可能性を広げる。」というキャッチコピーを掲げている「株式会社YOKOITO」の立ち上げメンバーの1人。学生時代の仲間で2014年に起業し、事業拡大をし続け現在に至ります。今回は起業してから現在まで、そして関西に縁のない中島さんがなぜ京都を拠点にしたのか?についてお聞きしました。
YOKOITO(http://yokoito.co.jp/)
中島さんが大学2年生の時に出会った3人の仲間と日経新聞社が企画したビジネスプランコンテストに出場して、見事出資を受けることに。東京で出会った中島さんたちは2014年3月に「株式会社YOKOITO」を京都で立ち上げ、企業案件や自社開発、シェアスペースの運営などを展開し、2016年に歯科事業への参入、2017年にはデザイナーが入社し自社プロダクト開発も加速し、売上も約1.5億円へと成長。
20歳で起業。6期目を迎えたYOKOITOの苦難と可能性
会社が6期を迎えたということ。少しずつ地盤を固め、確実に企業として成長しているということでもあります。起業当時は20歳だった中島さん。MADE IN JAPANよりもMADE IN KYOTOの価値を感じて、京都を拠点に。通っていた大学を休学し、以降は京都で活動しています。まずは起業してから現在に至るまでのお話を伺いました。
—YOKOITOという会社を作って、何をビジネスにしていこうという確固たるものはあったのですか?
中島:今思うと、本当に楽観的なんですが、ちゃんと考えていなかったですね。最初は美大生や芸大生の卒制を商品化しよう!ということを考えていました。ビジネスコンテストを経て出資も決まっていたのもあり、お金の管理はしっかりして「長く続けること」、このことは決めていました。最初の1年間さまざまなことに取り組んで、事業を続けていく中で行き詰まりを感じていました。
—それは何だったのですか?
中島:日本ではメイカーズ文化が根付かないのかもなって。当時は相当悩みました。僕も「MAKERS」を読み、これからメイカーズ文化が日本にも来るって夢見ていたし、自分たちのアイデアやニーズも時代に合うんじゃないかと思っていました。しかし、実際は自分でプロダクトを作ったとしても、その生産数には趣味レベルくらいしか求めていなかったり。
そもそも海外のようにガレージ文化もないので自分でものを作って売るという文化がほとんどないのが現実でした。ものづくりは、すべて企業の中にあって個人の中にはない、と。学校を出て自分でものを作って売るということを仕事にしている人が多くいないんですよね。
—でもYOKOITOを終わらせずにコツコツやっているからには、何かしらの可能性があるということですよね?
中島: 2016年より歯科業界向けに展開したことが転機となりました。歯型を3Dプリンタで出力したり、実は歯科業界はデジタル化が進んでいるんです。ただしみなさん1世代前の古いプリンタを使っていました。その時、とても使い勝手が良い3Dプリンタ「Form2」が登場し、開発した企業「Formlabs」の方と出会うことができ、正式代理店に。YOKOITOの売上を上げることはもちろん、より良い3Dプリンタを全国へ少しずつですが普及できるようになりました。
現在、歯科業界をはじめ、一般ユーザー向けにも展開しています。3Dプリンターはメイカーズ文化の象徴。3Dプリンタが広まることで、メイカーを育てる大きな1歩を踏み出せたなと実感しましたね。
「関西で戦う。クリエイターの流儀」バックナンバー
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