—クロスするというのは関西特有のものだと思います。関西の演劇や音楽も、クロスオーバーしている傾向があります。ぼくの好きな「劇団 子供鉅人」も演劇の文脈だけではなく、関西のインディーミュージシャンとコラボレーションし音楽の文脈も引き入れて独自性ある活動をしています。
中島:余裕があるというのは重要で、意味が分からないことや新しいことに投資してくれないと世の中同じものばかりになってしまいますし。それを考えると、クリエイターにとって京都で活動することはチャンス。世の中いろんなものがコモディティ化する中で、余裕のあるまちを拠点にして自分の価値を打ち出していくことは本当に重要なので。例えば1プロダクト100人しか売らないでビジネスが成立できるくらい、自分の価値を大いに打ち出したものを作ってビジネスする流れがこれから来るはずです。
—たしかに。以前、「関西で戦う」でも取り上げたのですが、INSTINC TOYというフィギュアを製作している会社も1プロダクトは多くても1000体以上作らないとおっしゃっていました。本当に欲しい人に価値を最大化して届ける方が喜ばれる時代なんですね。すでに。
中島:これからは「クリエイター=起業家」になるんじゃないかなって思います。自分のスキルや技術、そして感性を活かしてプロダクトを生み出し、必要な人へ必要な数だけ届けるというのが主流になるはず。
—そうなってくると、YOKOITOのようなメイカーズ文化を広げる企業がいよいよ必要になってきますね。田中がコピーライターとしている個人カンパニー「かたちラボ」もいわゆる「40歳になったらどうするんだ」という不安がありまして。このコラムもそういった不安を払拭するために、多種多様な人の知見を拝借したり、つながったりして40歳以降をどうにかしていこうという目論見でスタートさせました。受託仕事だけだとしんどくなるのは、諸先輩方を見ていたら明らかなんですよね・・・。
中島:いや本当に。これからはもっと「クリエイター=起業家」思考にならないとしんどいでしょうね。単にデザインやコーディングといった作業ではなく、自分の個性を100%活かしたものを作ることが、一番大きなクリエイターの付加価値。京都は海外観光客も多く、海外の交流拠点でもあるのでとても可能性があると思いますね。
—京都からどんどん小規模だけど、世界基準のクリエイターたちが増えてくるかもですね。そういった意味でもYOKOITOのこれからの展開が楽しみです。今日はお話、ありがとうございました!
「関西で戦う。クリエイターの流儀」バックナンバー
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