“デジタル主導”のコミュニケーション開発、そのアプローチ

テレビをデジタルの指標に合わせるアプローチ

Webやアプリといったいかにもデジタルな施策だけに矮小化せず、テレビ広告、新聞広告、チラシ、ダイレクトマーケティング、営業担当のアタックリストに至るまで、デジタル発想でこれらの最適化を果たすことが「デジタル化の本質である」と捉えるのが私の提唱する「デジタルマーケティング」です。

私はその中のひとつであり、巨大な広告市場である「テレビ広告をデジタル発想で最適化する」という試みに、長年取り組んできました。「テレビ広告をデジタル発想で最適化する」ことの端緒は、個人GRPをインプレッション数に変換するというアイデアです。これは当社(デジタルインテリジェンス)が特許を持つCMARC(テレビCMアクチャル到達補完システム)のコアアイデアとも言えます。

従来、e-GRPなどという「デジタルをテレビの指標に合わせる」試みはありましたが、私は逆にテレビをデジタル広告のインプレッション数という概念に寄せました。インプレッション数という考え方はテレビ画面を二人で観ていて、CMが一本流れれば2インプレッションという個人視聴ベースのものです。

今年から、関東地区のテレビスポットの買い付け単位も世帯から個人GRPに替わったことを考えると、このタイミングでテレビCMの投下量をインプレッション数で定義し直すことは実にタイムリーだったと言えます。日本アドバタイザーズ協会でもデジタルメディア委員会で、テレビとデジタルの統合指標としてこのインプレッション数を採用しています(筆者も昨年、日本アドバタイザーズ協会、デジタルメディア委員会のアドバイザーを務めた)。

やっていることはテレビCMであり、いわゆるデジタルなものではありませんが、テレビCMの到達総量をインプレッション数に変換して、デジタル広告との統合指標化するということは「デジタル発想」にほかなりません。

案外、多い“デジタル化”ではない、デジタル施策?

逆に、ある出版社は「タイアップ企画ものをどんどんWebやアプリ対応しているのでデジタル化を進めている」と言いますが、いかにアウトプットがデジタルでも入稿期限が40日間前の紙とまったく同じリードタイムでは「デジタル化」しているとは言えません。

デジタル化の要素は、
1.リアルタイム
2.高サイクル
3.データドリブン=ユーザードリブン(インサイト発見型マーケティング)

と定義できます。

いかに施策がWebであっても「オンライン進行で高速化している」といったデジタル文化にないものはなかなか「デジタルマーケティング」とは呼びづらいのです。

次ページ 「デジタルマーケティングを再定義する」へ続く

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横山 隆治(デジタルインテリジェンス 代表取締役)
横山 隆治(デジタルインテリジェンス 代表取締役)

1982年 青山学院大学文学部英米文学科卒。同年株式会社旭通信社入社。
1996年 デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社を起案設立。
代表取締役副社長に就任。2001年同社上場。
2008年 株式会社ADKインタラクティブ設立。同社代表取締役社長に就任。
2011年 株式会社デジタルインテリジェンス代表取締役に就任。

ネット広告黎明期からビジネスの実践とデジタルマーケティングの理論化・体系化に取り組む。

宣伝会議より『CMを科学する』(2016年4月15日発売)を刊行。

ほか著書に
『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)
『新世代デジタルマーケティング ネットと全チャネルをつなぐ統合型データ活用のすすめ』(インプレス)などがある。

横山 隆治(デジタルインテリジェンス 代表取締役)

1982年 青山学院大学文学部英米文学科卒。同年株式会社旭通信社入社。
1996年 デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社を起案設立。
代表取締役副社長に就任。2001年同社上場。
2008年 株式会社ADKインタラクティブ設立。同社代表取締役社長に就任。
2011年 株式会社デジタルインテリジェンス代表取締役に就任。

ネット広告黎明期からビジネスの実践とデジタルマーケティングの理論化・体系化に取り組む。

宣伝会議より『CMを科学する』(2016年4月15日発売)を刊行。

ほか著書に
『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)
『新世代デジタルマーケティング ネットと全チャネルをつなぐ統合型データ活用のすすめ』(インプレス)などがある。

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