普段の業務でどのように英語でコミュニケーションされているのか、実践的なお話を伺いました。また対談の後半は、来場者からの質問が相次ぎ、非ネイティブスピーカーが英語を使う際の困りごとに対して講師の二人が次々と答えました。
松浦:みなさん、こんばんは。今日は『マーケティング英語の教科書~完璧ではなくても、仕事で自信を持てる英語』の出版記念セミナー第2弾ということで、ゲストに富永朋信さんをお招きしました。今回は来場者の方々ともインタラクティブに話をしながら楽しく対談を進めたいと思います。
早速ですが、富永さんは華やかなマーケティングのキャリアをお持ちですが、最初に英語のキャリアをスタートした時はどのようなことを考えていましたか。
富永:コダックに入社してすぐに全員TOEICのテストを受けさせられたのですが、395点だったんです。衝撃的でしょう?こんなの、あてずっぽうでも取れる点数ですよね。(笑)
そんな私が海外工場とテレフォン会議(以下テレカン)をすることになりまして、どんなにめちゃくちゃな英語でもしゃべらなければいけないというメンタリティに変わっていったんです。
2年ぐらいたったある日、事業部長から突然「おまえ英語がうまくなったな」と言われて。「え?」と思ったんですけど、その方は口が悪いことで有名だったので嬉しくて。それでいい気になったのが始まりです。
松浦:アハハハハ。でも、ただ単に会議に出ていて上手くなったわけではないでしょう?
富永:本はいろいろ読みました。TOEIC本から、中学レベルの英語から段階的に学べる『世界一簡単な英語』みたいなタイトルの本とか。自分の場合は本物のサバイバルイングリッシュですが、まあ通じるくらいの英語力は身につきました。残念ながら、それ以降はあまり伸びていませんけどね。ハハハハ。
松浦:ほかに若いころの勉強法でよかったなと思うものはありますか。
富永:高校の時に、テキスト1ページ分の、20行ぐらいの基本的な会話文を先生の前で毎時間暗唱する授業があったんです。あれは今なんとなく書いたりしゃべったりしていることのベースになっているかなあ。
松浦:「英語を基本の文単位で身に着けておく」といろんな応用が利くということですか?
富永:英語は日本語と語順が違いますから、単語を覚えているだけだと頭の中で文章を構成しなければいけません。テレカンでそれをやっていると、置いていかれますからね。
文単位の引き出しがあれば、そこから言いたいことに合う文章を出してきてコミュニケーションできます。日本語も状況に合う文章を把握していて、それを組み合わせてコミュニケーションしていますよね。それと同じ発想です。
松浦:たぶんテレカンが苦手で困っている人は日本中にたくさんいらっしゃると思います。本当に困った時の作戦はありましたか。
富永:作戦と言うより、そうするしかなかったのですが、上手にしゃべろうという思いは捨てました。カタカナで読んでいるような英語でもいいから、自分が言いたいことは言い切る。それでわかってもらえなければ、もう1回言う。そういう風にやっていると、「伝えたい」という熱意が相手に伝わって、相手も聞いてやろうかという気持ちになる。複雑な内容を伝えるのは難しいかもしれませんが、テレカンで合意したいような内容ぐらいならそれで十分伝わります。
松浦:僕も宣伝会議で英語を教えていますが、細かい文法なんか気にせずに、一番言いたいことを言ってしまえばもっと伝わるのになあと、よく思います。部下の方にはどのようなアドバイスをされていますか。
富永:「四の五の言わずに英語をしゃべれ」と言っています。外国人が来たら、アイフォンとグーグル翻訳を使って「とにかくしゃべれ」と。そうすると欧米人の評価が高くなるんです。「こいつは母国語じゃないのに一生懸命しゃべって、何とかなっているじゃないか」と。そういうことが相互理解の始まりになる。だから上手くなくても、とにかく相手に突入する。それができない人は見込みがないですね。
松浦:本当にそうですよね。突入する気持ちがないと、上達はなかなか難しいと思います。
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