現在の広告用語は「広告はセールス」という考えから生まれた
今回のコラムは
同様に、ポール・フェルドウィックの『Humbugの解剖』から、主に米国の広告の歴史について語っていきたいと思います。
みなさんは、現代の広告、マーケティング業界で使われているボキャブラリーのほとんどは20世紀中盤の米の広告会社の黄金時代に生まれたことを知っていますか? 現在、日本においてもそれがどのような背景で生まれたかは知らずに、多くの人がほとんど無意識に使っているはずです。
その言葉とは、たとえばUSP (unique selling proposition:ユニークセリングプロポジション、独自の売りの提案)、ベネフィット(benefit:便益)、リーズンホワイ(reason why:信じる理由)、メッセージ(message)、アテンション(attention)、想起(recall)など。自分も過去に、特に外資系広告会社ではこのような言葉が散りばめられた広告の提案書を書いていました。
これらの言葉のベースにあるのは、「広告はセールスを目的としたものであり、それは合理的な説得の形式である」という前提です。この考えの発端は1904年にアルバート・ラスカーが築いたシカゴの広告会社であるロード&トーマスに訪ねてきた一人の男、ジョン・E・ケネディからはじまります。彼はラスカーに「広告とは、セールスが活字になったもの(salesmanship in print)であり、人に買わせるには理由(reason why)を与えればいい」と提案しコピーライターとして雇われたのです。
