2030年以降の移動のあり方を模索するトヨタ未来プロジェクト室【前編】

※本記事は株式会社クロス・マーケティングのコラムで掲載された記事を表示しています。小さく、クイックに挑戦する「OPEN ROAD PROJECT2.0」

トヨタ自動車の中でもとてもユニークな組織である「未来プロジェクト室」。「より自由で活発に移動できる未来を実現し、人々の“移動総量”を増やすために世の中の“一歩先”を創っていく」をビジョンに掲げ、トヨタ自動車が東京、渋谷のオフィスから未来を描こうとするのはなぜか。未来プロジェクト室 室長代理の天野成章氏に話を聞く。

トヨタ自動車 未来プロジェクト室 室長代理 天野成章氏(左)
クロス・マーケティンググループ マーケティング本部 プランニングディレクター 堀好伸氏(右)

2030年以降の未来を「自分ごと」として考える

堀:

未来プロジェクト室の「OPEN ROAD PROJECT」は新たなフェーズに入っているそうですね。

天野:

未来プロジェクト室では日々、社会にとって自分たちに何ができるのかを考えながら、活動しています。社会や移動環境の変化のスピードも加速している状況で、コンセプトを考えるだけでは十分ではないと考えました。そこで2017年からは新しいプロジェクトのタネを見つけ、それを芽吹かせるところまでをミッションとすべきではないかと考えはじめ、昨年の夏に「OPEN ROAD PROJECT2.0」へとシフトしました。

プロジェクトが芽を出し、大きく育つ可能性があるなら、本格的に実証実験やトヨタとして大きなスキームの中に取り込んで行けば良い。ただ、タネはあっても簡単に芽が出るわけではないので、まずは小さなタネを見つけて、うまくいかなければ撤退すれば良いというスタンスで取り組んでいます。

「OPEN ROAD PROJECT1.0」では、大規模に超小型パーソナルEV「i-ROAD」を使い、そのモビリティだけではなく、周辺サービスも合わせて作ることで「i-ROAD」の価値を広げようとしていました。この取組み自体はとても有意義なものでしたが、時間も投資規模もかかりすぎた。未来プロジェクト室の組織規模では、それだけで手一杯になってしまった。

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