ビッグストーリーをクイックバイトで届ける時代―「CES2020」レポート②(玉井博久)

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米国・ラスベガスで1月7日から開催されている「CES(コンシューマー・エレクトロニクスショー)2020」。江崎グリコの玉井博久氏が広告主の視点から、現地よりレポートします。

動画ストリーミングサービスのQuibiが注目される理由

CES2020で間違いなく注目株のひとつになっているのが、動画ストリーミングサービスのQuibiです。基調講演は満席、いかに注目されているかが伺いしれます。QuibiはQuickとBiteの2つの単語を組み合わせてつくられたネーミングで、その名の通り、「短時間で楽しむ」ことを意味します。

楽しむ対象は、決して時間潰しのようなものではなく、ビッグストーリー。映画、ドラマ、ニュース、バラエティなど。しかもスティーブン・スピルバーグを始めとするハリウッドの大物監督が撮影し、豪華俳優を起用する10分以内の短尺動画です。彼らのビジネスとは、そうした大量のコンテンツを提供していくサブスクリプションサービスになります。

動画制作には有名監督や俳優が参加。

動画のストリーミングサービスはNetflixを始め、すでに多数存在する中、彼らが注目を集める理由とは、これからのストーリーテリングのあり方を一変させてしまうだろう存在だからです。

コンテンツのインターフェイスは映画からTV、インターネット、そしてモバイルへと移りかわってきました。スティーブ・ジョブズがiPhoneを世に出して、モバイルでの動画体験が始まってから。すでに10年ほどが経過しましたが、Quibiは「モバイルでのコンテンツ体験は真の意味ではまだ実現されていない」と主張します。

これまでのモバイルコンテンツ体験は、テレビが誕生した時にどうしたら良いか分からず、アナウンサーがただカメラの前に立って文章を読んでいる姿を流していた時と同じようなものだったというのです。

セッション内では、スマホが登場した当時のモバイルでの動画視聴時間は6分程度だったのに比べて、2019年にはその視聴時間は80分にまで増えているとの話もありました。さらにT-モバイルによると、視聴される動画コンテンツの中でも、最も視聴されているのが短尺動画とのこと。

どのように長いストーリーをすばやく体験してもらうことができるか、モーメントとモーメントの間の限られた時間で素晴らしいコンテンツに触れてもらうができるようにするためにはどうすればよいか。またスマホで検索、地図閲覧といったことに慣れたユーザにどの様なモバイル動画体験を提供すべきか、といったことを考える必要が生まれています。こうした体験を根本的に見直して、モバイルエンタメプラットフォームを目指しているのが彼ら、Quibiなのです。

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