コラム

ロサンゼルスの現場から。~日本語しかできなかったコピーライターが、気付いたら、LAでクリエイティブスタジオを設立していた話~

クリエイティブの世界もこんなに違う!?日本とグローバルの働き方の違いを徹底分析

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【前回コラム】「まさかのApple担当に!TOEICスコア550点で海外出向から生まれた奇跡」はこちら

どうも、こんにちは。クリエイティブスタジオ「Death of Bad」の曽原剛です。

日本と米国・グローバルの広告クリエイティブビジネスの最前線をお伝えする本連載も2回目となりました。初回は、渡米前はTOEICスコア550点と“超ドメスティックな”コピーライターだった私が、どうして米・LAはじめ世界各国を飛び回るようなダイナミックな仕事に就くことになったのか、その経緯をお話ししました。

2回目となる今回は、日本と米・グローバルの働き方の違いについて、私なりの見解を述べていこうと思います。

日本でも最近、「働き方」という言葉を聞く機会が増えていると思いますが、グローバルとの違いというと、日本の長時間労働の問題を最初に思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、クリエイティブビジネスの世界で「働き方の違い」を議論した場合、まずアイデア企画におけるアプローチの方法などがテーマに上がってきます。

前置きが長くなりましたが、かくいう私も、長年、この問いについての明確な答えを探しているものの、なかなかどうして一言では言い尽くせないのが、正直なところです。なぜなら、ケースによって「ラグビー」と「アメリカンフットボール」ほどの違いを感じることもあれば、「野球」と「ベースボール」くらいの差にしか感じないこともあるからです。

なので今回は、総論的にその違いを語るのではなく、3つのポイントに分けて、日本と米・グローバルの仕事の仕方や考え方の違いについて話していきたいと思います。

クリエイティブに欠かせない「コンセプト」と「コンテクスト」

優れたクリエイティブとは、「コンセプト」が「コンテクスト(=文脈)」と見事に融合したその先にあるもの。だからこそ、その両輪をしっかり考えることが、クリエイターには求められます。

例えば、記憶に残るようなディナーを思い浮かべてみてください。それはおそらく、「何を」食べたか、という料理自体が大切であるとともに「誰と」「どこで」「どんなシチュエーションで」ディナーを楽しんだか、という文脈やストーリーがその体験をより一層魅力的なものにしてくれているはずです。

このコンセプトとコンテクストの関係性において、日本では、アイデア開発の際に「コンセプトを考える」部分が少しおろそかになってしまっているのでは、と常日頃感じています。

例えば、多民族国家で、ダイバーシティが当たり前となりつつある米国では、皆が必ずしも共通の文化的背景を持つとは限りません。だから、「クリエイティブを見た人がその内容を理解できる“であろう”」という推測にしか基づかない“曖昧な”コンセプトでは採用されにくい傾向にあります。それよりも、“強くて”“明快な”コンセプトの方が米国では良いのです。

「いろいろな背景を持つ人々に対しても響く“シンプルな”コンセプト」と聞くと、最大公約数的で表層的な印象を受けるかもしれませんが、実際には、煮詰めた先や蒸留した先にあるような、深くてピュアなものが理想のコンセプトであり、米国のクリエイティブの多くがそうしたクリエイターらの努力により生み出されています。

例えば、アップルの「Think Different」やナイキの「Just do it」、スニッカーズの「you’re not you when you’re hungry」などの優れたグローバルキャンペーンにも、そのコンセプトの強さが見て取れます(余談ですが、論理的でコンセプチュアルな「英語」という言語と、文脈を大事にした表現豊かな「日本語」という言語の違いも影響しているのでは、と個人的には思ったりしています)。

ですので、基本はコンセプトを考えるのが先です。しかし、その一方で、コンテクストをないがしろにすることを勧めているわけでもありません。例えば、「こういうコンテクストが世の中で共通認識となっているいまだからこそ、このコンセプトが響く」というようにコンテクストを先に考えることで強いコンセプトにたどり着くこともあれば、「このコンセプトを、このコンテクスト上で表現するとインパクトがある」など、コンテクストがコンセプトの良さを増大させるケースも存在します。

要するに、アイデアを考える際に、「世界観」「シチュエーション」「流行しているもの」「タレント」「言い回し」といった、コンセプトなしではあまり意味をなさない周辺情報=コンテクストから考え始めることはしない、ということが言えるかと思います。

「コンセプト」と「コンテクスト」。その両輪をしっかり練ることが、優れたクリエイティブを生み出すための第一歩。

次ページ「「スピード」を失った日本、だが…」へ続く

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