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コラム

ロサンゼルスの現場から。~日本語しかできなかったコピーライターが、気付いたら、LAでクリエイティブスタジオを設立していた話~

クリエイティブの世界もこんなに違う!?日本とグローバルの働き方の違いを徹底分析

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目指すは、「ジェネラリスト的思考のスペシャリスト」

クライアントサイドかエージェンシーサイドかを問わず、私たちの仕事はさまざまなスペシャリストたちの働きで成り立っています。かく言う私も、コピーライター兼クリエイティブディレクターというスペシャリストに属する人間です。

一方、日本の組織は昔からジェネラリスト志向が強い印象です。しかし、近頃では、「終身雇用」「一斉就職」といったこれまで日本企業を支えてきたシステムの崩壊に伴い、教育方針もジェネラリスト志向からスペシャリスト志向にシフトしてきているように感じます。

転じて、米国はどうでしょうか。私の経験上、米国には「ジェネラリスト的思考を持ったスペシャリスト」が多くいる印象です。例えば動画コンテンツをつくる場合、監督やエディター、美術部、照明部など数多くのスペシャリストたちが関わることになります。その際、彼らは「このプロジェクトで成し遂げたいコンセプト・ゴールは何か」を各々がしっかり理解し、それぞれの専門能力を発揮してくれます。

各メンバーがクリエイティブディレクターやクライアントの頭の中にあるもの“だけ”を具現化する、単なる「オペレーター」で終わることなく、その根っこにある目的に対しての“より良い”答えを出そうとするので、実は仕事もしやすく(速く)、良い結果につながることが多くあります。

このことは、制作現場に留まらず、データ分析に基づくマーケティング戦略の立案など、さまざまな協働環境で私が感じることです。

ただ一方で、もし、そのプロジェクトを束ねるジェネラリストが天才的な采配力を持つ人だった場合、周りを固めるスペシャリストには、それほどジェネラリスト的思考は必要ないのかもしれませんが。

まとめると、「ジェネラリストvsスペシャリスト」または「ジェネラリストorスペシャリスト」という構図で考えるのではなく、「ジェネラリスト的思考を持ったスペシャリスト」になるのが理想であり、そういう人々で構成された集団の方が仕事はスムーズかつ良い結果を生みやすい、ということです。

『鉄腕アトム』は手塚治虫で、ドラえもんは、『藤子不二雄』。一方、『スーパーマン』や『バッドマン』はDCコミックスで、『アイアンマン』『スパイダーマン』はマーベル。作品名を聞いて、先に作者の名前を思い浮かべるか、それともチームや会社の名前を思い浮かべるか。ジェネラリストとスペシャリストのあり方の違いはこんなところにも現れているのかもしれませんね。

「ジェネラリスト」か「スペシャリスト」か、の対立を前提とした議論はいまや時代遅れに。

以上、日本と米・グローバルの働き方の違いについて、「コンセプトとコンテクスト」「仕事のスピード感」「ジェネラリストかスペシャリストか」という3つのテーマでお伝えしました。次回コラムは引き続き、クリエイティブ領域における各国の働き方の違いについて、さらに深掘りしていきたいと思います。