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コラム

ブランドなんか大嫌いなブランド担当者が33年かかって、たどり着いたブランド論

『実務者ブランド』に上流階級は、絶対無理! 目指すべきは、中流階級まで?

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【前回コラム】「意外すぎるブランドの正体!実務者のための泥臭いブランド定義とは?」はこちら

はやいもので、「ブランドなんか大嫌いなブランド担当者が33年かかって、たどり着いたブランド論」の連載も第7回です。

前回のコラムでは、実務者のブランド定義の完全版は、『(ブランドを)思い出すきっかけになるものに出会ったときに(→知っていることに気づき→)その瞬間に頭の中になんとなく自然に浮かんだ勝手なイメージ』としました。

そして、ざっくりと一言で定義してしまえば、ブランドは「妄想」であるとも説明しました。

さらに前回のコラムの重要なポイントに、企業・商品は‘知られているだけ’で、実はすでに‘ブランド’という存在であるとのブランド論の教科書にはない暴論を披露させていただきました。

今回は、①どうして知られているだけでブランドなのか、②なぜ定義の完全版である「頭の中に自然に浮かんだ勝手なイメージ」を「妄想」という言葉に置き換えたのか、③スーパースターブランドではない『凡人ブランド』が目指すべきものとは何なのか。この3つについて、解説していきます。

どうして知っている、知られているだけでブランドといえるのか?

まず、①どうして知られているだけでブランドといえるのか?について解説していきます。

「企業・製品のことを‘知っている’だけで、その企業・製品がブランドであるなんておかしいのでは?」「ブランドというからには、もっとすごいものなのでは?」などなど、納得していない方もいるのではないでしょうか。

でも皆さん!いつまでもブランドを、「なんとなくすごいもの」として、崇め奉ったり、ありがたがったりするのは、やめた方がよいです。そろそろ、その考えから卒業しませんか? 第3回のコラムでも触れましたが、アップルやスターバックスのような、『超優秀なスーパースターブランド』が、すごいもの、ありがたいものであることは間違いありません。でも私たちが担当し、取り組む『凡人ブランド』は、残念ながら、そんなにすごい存在ではない、さらにどう頑張っても、今後ありがたい存在には進化できません。

ものすごく誇張した表現でいえば、ブランドなんて、その辺にごろごろと転がっている石のようなものです。その石の中で、稀有で最高級の石、すなわちダイヤモンドと呼ばれるような石が、アップルやスターバックスという存在なのだ、と考えるくらいでちょうどよいと思います。(*ブランドを大切にされている方には不快な表現ですいません。ありがたがりすぎる弊害に気づいていいただくためなので、広い心でお許しください。)

商品を‘知っている’‘知られている’こと自体が、すごい価値であることは、実はブランドの教科書でもよく説明されています。よくある説明は、『あなたがミネラルウォーターを買おうとお店に入ったら、2種類の商品が並んでいました。同じ値段でした。一方は知っている商品、もうひとつは知らない商品だとすると、知っている商品を選びます。だからブランドは大事です』と。

つまり知っているということは、少なくともブランドという存在であり、知られていないものと比較すると、すでにすごい価値があるのです。私を信じない方も、ブランド論で認めているのでご安心ください。

*余談ですが、この事例では「(単に‘知っている’だけにすぎない)ミネラルウォーターがブランドである」と紹介されています。本来、ブランド論の定義によるとブランド=約束。あなたとミネラルウォーターの間には「約束」は存在しません。「約束」はないが「ブランド」であることが、実務者を混乱させる典型的な事例です。

このコラムでは、省略に気づかないと正しく理解できないので、省略に気づきましょうと何度も注意を促してきました。(スーパースター・最高級)ブランドの定義は「約束」であり、(赤ちゃん・最低レベル)ブランドの定義が「知っている」「知られている」なのです。このことについては後述します。

次ページ「なぜ、「頭の中のもやもや」を「妄想」と定義したのか?」へ続く