コラム

ブランドなんか大嫌いなブランド担当者が33年かかって、たどり着いたブランド論

『実務者ブランド』に上流階級は、絶対無理! 目指すべきは、中流階級まで?

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なぜ、「頭の中のもやもや」を「妄想」と定義したのか?

次に、②なぜ定義の完全版である「頭の中に自然に浮かんだ勝手なイメージ」を「妄想」という言葉に置き換えたのか、について解説していきます。

実務者のためのブランド定義において、頭の中のもやもやは、素直に置き換えれば「頭の中のイメージ」となりますが、「イメージ」ではなく「妄想」というあまり使わない言葉で定義したのには、深い理由があります。

ちょっと大げさな言い方かもしれませんが、その理由は「ブランド」の本質を無意識に感じさせたいから。「イメージ」という言葉で誤解されたくないからです。

「イメージ」ではなく「妄想」とした理由は2つあります。

そもそもブランドは、誰の持ち物なのか。

ブランド実務者は、自らが関係する企業・商品をよりよいブランドにすることがお仕事です。その際、どうしても忘れがちになるのは、『ブランドは、生活者、つまりお客さまが持っているものである』という絶対的な本質です。生活者一人ひとりの頭の中に存在するものであり、実務者はよりよいブランドにしたいと、いろいろな働きかけを行うことしかできません。しかしながら、「イメージ」という言葉だと、「ブランド」は企業や商品サイドの持ち物であると誤認することがあり、それを避けたい。

あえて「妄想(必ずしも正しいかどうかわからない。企業・商品は妄想しないので、自分たちのものではなく他人のもの)」という言葉を選んだのは、そのためです。

「イメージ」という言葉を使いたくなかった、もうひとつの理由は、先ほども触れましたが、「ブランドはすごいものや素晴らしいもの」という暗黙の認識を引きずってしまうからです。本来「イメージ」という言葉にはプラスもマイナスもないフラットな言葉のはずですが、「ブランド」=「(頭の中の)イメージ」と定義すると、「(スーパースター)ブランド」のもつ‘すごいもの’が「イメージ」に乗り移ります。その結果、この「イメージ」はすごいものを意味していると無意識に思ってしまいます。この弊害を避けるためにも、「イメージ」ではなくて「妄想」としました。

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