ウィズコロナと共感力 〜リーダーたちの言葉の比較
新型コロナウィルスの感染拡大防止について、世界中の女性のリーダーシップに注目が集まっている報道を目にした方も多いでしょう。
ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相はその中でも「共感力の高さ」で取り上げられることの多い一人です。
次のグラフをご覧ください。文書中に含まれる単語の重要度を評価するtf-idfという手法で、私のチームが独自に解析した結果です。アーダーン首相とトランプ大統領を比較しました。
トランプ大統領の中でまず目立つのは“incredible(ものすごい)”や“tremendous(とてつもない)”という、度合いをあらわす表現です。また“governors(知事・長官)” “federal(連邦)” “administration(政府)” “bill(法案)”という政府のことを伝える単語。さらに“china(中国)”のように非難の対象を明言する言葉も見られます。
アーダーン首相はどうでしょうか。“schools(学校)” “children(子どもたち)” “civil(市民の)”も特徴的ですが、“mean”という言葉が多用されていることに着目してみましょう。解析の元にした文書の多くでは“that means”という使い方がされています。「つまり〜ということです」を意味する“that means”。アーダーン首相は、聞き手の理解や共感を促すように、丁寧に補足の説明を加えていることがうかがえます。
ウィズコロナと共感力 〜ポジティブ・ネガティブの比較
トランプ大統領とアーダーン首相の言葉を別の角度から検証してみましょう。
Sentiment analysisという手法で、二人の言葉を「ポジティブな単語」と「ネガティブな単語」に分けて解析した結果です。
ポジティブな言葉(右側)を見てみましょう。トランプ大統領は“strong(強い)”や“powerful(パワフル)”など、文字通り「力強さ」を表現しています。一方、アーダーン首相は“guidance(助言)”や“properly(適切に)”など「冷静な論理」を感じさせる言葉が特徴的です。
ネガティブな言葉(左側)については、二人とも“virus(ウィルス)”がトップです。しかし、それ以外ではかなり違いが見られます。トランプ大統領の上位には“enemy(敵)”や“aggressive(攻撃的)”など「打ち勝とう」とする単語が並びます。一方、アーダーン首相の上位にあるのは“lost(失われた)”や“lose(失う・負ける)”などで、「弱者に寄り添う」ような言葉とは言えないでしょうか。
「コロナ禍で広まる世界の言葉 With/Post Covid-19 Communication」バックナンバー
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