広告が嫌われモノになるのは「左脳化」が原因
境治氏は『嫌われモノの<広告>は再生するか』という著書において、この20年間に発展した広告におけるインターネット広告の発展が、これまでのテレビのようなマスメディアと違った形で急速に大量に進んだために「金儲けのツール、欲望を刺激するもの」としての広告の姿が浮き彫りになり、以前にも増して「嫌われモノ」となったことを指摘しています。境氏はその本質的な変化が良い方向に向かっていることを捉えつつも、この傾向はデジタルマーケティングが一般的になってきたことで加速化された感は否めません。
実は同じことを違う視点から警鐘を鳴らしている人が日本以外にもいます。それは、System1(ダニエル・カーネマンが『ファースト&スロー』で紹介した直観的な素早い思考)という象徴的な名前を冠する英国のエージェンシーのCIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)であるオーランド・ウッド氏です。彼は『Lemon: How the Advertising Brain Turned Sour.(2019年刊)』(この本の表紙はDDBが制作したフォルクスワーゲンの広告のパロディにもなっています。Lemonは不良品という意味で、車の代わりに脳が置かれています。)という著書で、嫌われモノになる傾向を「左脳化」という言葉で説明しています。
