今年は全編オンラインでの開催となるが、オンラインになったからこそ日本独自に企画したセッションだけでなく、米国・欧州で開催の「Advertising Week」のセッションの一部を視聴することが可能になる(見逃し視聴は10月末まで可能)。
日本の広告界が議論すべきテーマを参加するボードメンバーが持ち寄り、セッションが企画される「Advertising Week Asia」。アドバイザリーボードのメンバーが今、日本の広告界が向き合う課題、そして希望についてリレー形式で語っていく。
広告業界も例外ではない、差別という問題
10月14日から始まる「Advertising Week2020:Asia」。私は2018年から「Advertising Week Asia(AWA)」のアドバイザリーボード サポートメンバーとして参加をし、今年は「チェンジメイカーとしての『VOGUE』- 新イニシアチブ「VOGUE CHANGE」が目指す新しい社会」と題するセッションの企画を担当しています。なぜ、いま「ダイバーシティ&インクルージョン」なのか?「Advertising Week2020:Asia」の開催に先立ち、その狙いや背後にある問題指揮を紹介したいと思います。
インクルージョンの語源は、社会的経済的格差を「社会的排除(ソーシャル・エクスクルージョン)」と呼んでいたところにあり、アメリカでは実に1980年代の障がい児の教育に対する概念としてインクルージョン(包括)が注目され、日本でも教育分野から広がった言葉なのだそう。
日本において多様性を肯定する人が多くなったことはそんなに昔ではないかもしれませんが、私は学生時代にバイトしていた劇場の仲間たちが、セクシュアリティも多様かつオープン。なんの損得勘定もない友人だから偏見も何もなかった。今思うと、その時の男女も年齢も超えた数々の体験は本当に貴重でした。
私は仕事で海外に行くことも多く、“海外に行くと人見知りしない性格”なので今まで何人と会い、お酒を酌み交わし、友人を作ってきたか数え切れません(笑)。日本にいると場にそぐわない奇抜なファッションの人が気になったり、空気を読み取り周りに馴染もうと無意識にしてしまうこともあるのですが、海外に行くと人種も違うし多様なんて当たり前、という考え方がベースにあり「人とちがうことは個性」と肯定的に考える人が私の周りは特に多かった、私は友人に恵まれいるようです。
そしてインクルージョンが日本で強く意識されるようになったのはここ2~3年前くらいだと認識しています。教育からスタートしたこの言葉は今ではビジネス・社会全体への考え方として浸透、能力や経験が差別なく認められて仕事ができる、国籍、性別、学歴などにとらわれずに就業できるなどの考え方に変化をもたらして来ています。